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IFRS財団、サステナビリティ基準審議会(ISSB)の理事11人を公募。サステナビリティと情報開示の専門性等のほか「賢明な判断力」等の"定性的"な基準も選定尺度に(RIEF)

2022-01-14 20:59:07

IFRS 2022-01-14 204937

 

  IFRS財団は国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の理事会メンバーの公募を開始した。ISSBの理事会の議長には、すでにフランスのダノン前CEOのエマニュエル・ファベール氏が就任しており、近く公表される2人の副議長以外に11人を募集する。ただ、公募の形をとるが、理事メンバーには地域性、サステナビリティおよび財務の専門性等が求められることから、各国からの推薦をベースにポスト配分がされる見通しだ。

 

 (写真は、昨年11月のCOP26で、IFRSがISSB設立発表した際の様子)

 

 ISSBの理事会は、今回の公募の理事11人と、議長、副議長2人の合計14人で構成する。公募理事の候補者に対しては、2月初めにIFRS財団の評議員会がインタビュー等をする予定。理事メンバーがそろった後、今年下半期に最初のISSB理事会を開催する予定。

 

 ISSBの役割は、CDSBやSASB、GRI、IIRC、CDP等の民間団体主導による市場ベースの情報開示イニシアティブを踏まえたうえで、金融市場でのサステナビリティ情報開示のグローバル基準を設定することにある。すでにIFRS財団は既存の民間基準のうち、CDSBとVRF(SASBとIIRCの統合体)をIFRSに組み入れている。IFRSでは、CDSBとVAFの技術基準とフレームワークを土台に、TCFDの提言、世界経済フォーラム(WEF)の「Stakeholder Capitalism Metrics」等を加味して基準体系を整備していく方針だ。

 

 理事の公募基準では、①サステナビリティとレポーティングについての能力と知識②分析能力③コミュニケーションスキル(英語力)④賢明な判断力⑤サステナビリティレポーティング環境についての理解力⑥学問的雰囲気で働く能力⑦インテグリティ(威厳)、客観性、規律性⑧IFRS財団の使命と公共の利益へのコミットメント、の8点をあげている。

 

 筆記試験をやるわけではないだろうから、決め手は「賢明な判断力」や「インテグリティ」等の定性的なクライテリアになるとみられる。市場ベースでのサステナビリティ評価においては定量化が一つのカギとなるが、ISSBの理事選定は異なるようだ。

 

 これらの基準に適した「専門性と経験」の保有者として、企業の最高財務責任者(CFO)、最高サステナビリティ責任者(CSO)、サステナビリティ投資の経験を持つシニア投資家・分析担当者、サステナビリティデータの分析やスコアリング等の経験を持つシニアリサーチャー、規制当局者、学者等を例示している。

 

 地域的配分から、アジアからは日本か中国、あるいは両国の専門家が選ばれると考えられる。ただ、仮にアジア枠が一つだと、日中以外の国からの採用の可能性もあるかもしれない。

 

https://www.ifrs.org/content/dam/ifrs/about-us/careers/issb-call-for-members.pdf