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農水省。アジアの水田でのAWD(間断灌水)方式でのメタン削減クレジットの方法論案開発。「二国間クレジット制度(JCM)」に適用。日本の3企業グループがアジアで競い合い(RIEF)

2024-06-28 19:04:47

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写真は、Green Carbon社が手掛けるアジアでのAWD利用の事業)

 

 農林水産省は28日、アジア開発銀行(ADB)等と連携し、わが国が途上国等の気候対策を支援するために展開している「二国間クレジット制度(JCM)」を活用して、アジアでの水田から排出されるメタンガス削減の手法を共通化した方法論案を開発したと発表した。水田を「中干し」してメタンガスを削減する手法は国内のJ-クレジットで認定されているが、今回、フィリピンを対象に同国でのAWD(間断灌水)方式でのメタンガス削減の方法論案を開発した。同方法論案はフィリピンだけでなくアジアの稲作諸国に展開が可能で、創出されるクレジットは日本の排出量取引制度でも売買できるようになる。

 

 農水省は2023年度中にADBに資金を拠出し、フィリピン、ベトナムの関係者とともに、水田からのメタンガス削減に関するJCMを活用した方法論の開発を進めてきた。今回のAWDでの方法論案は、パリ協定6条2項に基づくものであり、今後プロジェクトが進んで実際にクレジットが発行されると世界初になる、と指摘している。

 

 AWDは水田での稲の成育途中に田に水を満たした状態と、水を落として干した状態とを、数日おきに繰り返す水管理技術。日本の中干し手法に似ており、アジア各国で実施されている。水田からのメタンガスは、土壌に含まれる有機物や、肥料として与えられた有機物から、嫌気性菌のメタン生成菌の働きにより発生する。メタンの発生を減らすには、水を抜く期間(落水期間)を長くする(中干し)ことで効果がある。https://rief-jp.org/interview/140284?ctid=34

 

 中干し期間を7日間延長することにより、メタン発生量を3割削減できるとされる。J-クレジットではこの中干し期間の共通化や、実際のメタンガスの測定・確認の手順などを共通化した方法論を認定している。今回、フィリピンの農家で一般的に実施されているAWDの方式について、メタンガス抑制の方法論案を開発した。

 

農水省開催の発表会に集まったクレジット創出関係者たち
農水省開催の発表会に集まった稲作クレジット創出関係者たち

 

 これまで稲作事業からのクレジット創出は、スイスがアフリカのガーナと協力して実施している事業があるという。ただ、まだクレジットの創出にまで至っていない。スイス以外でも、ドイツやシンガポール等も途上国と連携して技術支援に取り組んでいるとされる。農水省の推計では、メタンガスを35%減少させると水田1ha当たりで、CO2を3.2㌧減らすことが出来るほか、稲の収量を22%増やすこともできるとしている。

 

 農水省が同日開いた方法論案の発表会に、オンライン参加したフィリピンのクリストファー・モラレス・フィリピン農業省事務次官(稲作産業開発担当)は「気候変動に対応するため、稲作の強靭化と生産性向上が必要。農業分野はCO2の排出源であると同時に、吸収源でもある。わが国の2030年目標は温室効果ガス(GHG)75%削減を掲げており、AWDの方法論案の開発は、この目標達成に向けた重要な一歩となる。方法論の開発はゴールではなく多くの農民が革新的な水使用に資する始まりとなる」と強調した。

 

 農水省は、フィリピンに続いてベトナムとも同様の方法論の開発を進めており、アジアでの気候変動対策の推進と、その成果として創出したクレジットを日本の排出量取引市場で企業需要に振り向けたい考えのようだ。

 

 同日の発表会にはすでにアジア各国でAWDによるクレジット創出事業を展開しているスタートアップ企業と大手企業の協働3グループも参加し、それぞれの取り組み状況を報告した。クレアトゥラ、Green Carbon、フェイガーの各クレジット創出のベンチャー3社がそれぞれの活動を報告。各社と連携する大手企業の東京ガスやヤンマー、三井住友海上火災、クボタ、全農なども名乗りをあげ、今後、アジアの水田をめぐって、クレジット創出競争を展開しそうだ。

https://www.maff.go.jp/j/pr/event/attach/pdf/kaigi.release-1109.pdf

http://carbon-markets.env.go.jp/wp-content/uploads/2024/06/0_Draft_AWD-JCM%20Methodology.pdf

5th Expert Committee Meeting on Climate-Resilient Agriculture and Low-Carbon Food Systems in the ASEAN Region | Asian Development Bank (adb.org)