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財務省。今年度3度目のGX国債発行。10年債、約3500億円。「グリーニアム(グリーン性のプレミアム)」は無し。移行ファイナンスはESG投資になじまない(?)(RIEF)

2024-10-23 15:10:56

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 財務省は22日、今年度3度目となるGX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債を発行した。10年債で発行額は約3500億円。グリーンボンド等のESG債については、ESG投資を重視する機関投資家等からの投資需要があることから、通常の同等の債券よりも買い注文が増えて、利回りが下がる「グリーニアム(グリーン性のプレミアム)」がつき、特に国債の場合はプレミアムが高まる傾向にある。ただ、GX国債の場合、前年度の初回発行にはわずかにプレミアムが生じたが、以後、グリーニアムとは無縁で、今回も「グリーニアム・ゼロ」となっている。

 

 22日の同国債の入札の落札利回りは0.943%。応札倍率は3.31倍(前回3.15倍)を上回り、まずまずの反応となった。市場の金利水準が目安となる1%に近いことがあり、買い易い環境が整っていたとされる。ただ、GX国債と同じ日に償還(2034年3月20日)される通常の10年国債の流通利回りは0.910%で、GX国債の落札利回り(0.940%)に比べると、GX国債の利回りがわずかに高い(一般国債が好まれている形)。「逆グリーニアム」ともいえる。

 

 財務省が前年度2月14日に実施した初回のGX10年国債入札では0.005%程度のグリーニアムがあった。生保などの投資家が、一種の「ご祝儀投資」の形で、買い注文を出したことから、グリーニアムが生じたとされている。しかし、その後、今回を含む4回のGX国債の入札では、グリーニアムは生じておらず、投資家には通常の国債と同等とみなされている形だ。

 

 GX国債にグリーニアムが発生しないのは、投資家が通常のESG債と同等の「追加投資需要」を見出せないことが大きい。同国債を原資として政府が推進するGX政策では、グリーン性の再生可能エネルギー投資や省エネ投資などとともに、原子力開発、石炭火力発電へのアンモニア混焼による「延命策」、GX推進機構への出資金などが予定されている。グリーン投資と、化石燃料延命投資が混在していることから、ESG投資を重視する投資家の中には、二の足を踏むところもあるようだ。

 

 欧州のドイツやフランスなどが発行するグリーン国債の場合、国債に対する信頼性と安定性を評価して、銀行や一般企業が発行するESG債よりも高いグリーニアムがつくケースがほとんどだ。ESG債の流動性不足を解消するため、ドイツのグリーン国債では同時に条件等が同等の一般国債を発行し、一般国債の流通市場での取引価格を参照できるようにしている。日本のGX国債の発行に際して、財務省はそうした工夫はしていない。

 

 ESG債に付与される外部評価機関のセカンドオピニオンのあり方にも課題がある。GX国債には日本格付け研究所(JCR)が、ESG債として最上位格付けを付与している。最上位の格付けなのに、投資から「グリーニアム」の評価が生まれないことについての説明は、JCRから示されていない。RIEFの知る限り、これまでの同社のESG債格付けでは、すべての案件に最上位格付けが付与されている。「機械的に」最上位格付けを付与しているとすれば、何のためのセカンドオピニオンかわからない。ESG債市場の発展のためには、こうした「慣行」も、そろそろ見直すべきではないか。

 

 投資家にとって、GX国債への投資の手応えを感じられるには、GX政策による投資先事業の移行成果が明瞭になる必要がある。ただ、政府が予定するGX政策の資金使途先事業の多くは、2030年あるいはそれ以降に成果を期待する内容で、現時点ではその成果は「想定」でしかない。しかもすでに実用化が進んでいる再エネ等を資金使途先とするグリーンボンド等とは異なり、移行事業は、移行に特有の技術リスク、政策リスク、市場リスクを抱えるため、投資家としてリスクを見極めにくいという状況にある。

 

 こうした事情から、金融機関や投資家の間では、「(GX国債は)売りたいときに売れない不透明感があるので、積極的に売買しにくい」「取引のしやすさを考えれば、わざわざGX国債を選ばなくても通常の国債に投資すればいい」等の判断が多いとされる。

 

https://www.mof.go.jp/jgbs/topics/JapanClimateTransitionBonds/index.html

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20241023&ng=DGKKZO84282560S4A021C2ENG000