HOME |アゼルバイジャンでのCOP29。先進国による途上国への資金支援額をめぐり、閉幕を返上し土壇場の攻防。先進国は年3000億㌦提示、途上国側は反発。日本も先進国内の「抵抗勢力」に(RIEF) |

アゼルバイジャンでのCOP29。先進国による途上国への資金支援額をめぐり、閉幕を返上し土壇場の攻防。先進国は年3000億㌦提示、途上国側は反発。日本も先進国内の「抵抗勢力」に(RIEF)

2024-11-23 21:58:39

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  アゼルバイジャン・バクーで開催中の国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)は最終日(22日)の日程を一日延長して23日も協議したが、先進国が途上国に支援する資金援助額での合意が成立せず、難航を続けている。議長国のアゼルバイジャンは予定されていた最終日に援助額として年2500億㌦を提示した。だが、途上国側の了解を得られず、先進国側が協議の結果、3000億㌦に引き上げた。しかし合意には至っていないという。協議を長引かせる先進国側の「抵抗勢力」として、日本が、スイス、ニュージーランドとともにリストアップされている。

 

 今回のCOPの最大のカギは「金融COP」と呼ばれたように、途上国への気候変動資金供給の新たな枠組み「新集団的数値目標(NCQG)」の合意にあった。NCQGは途上国の適応と緩和のための気候対策資金の総合的な供給目標となるもので、2009年にデンマークのコペンハーゲンで開いたCOP21で合意した際は、年1000億㌦としていた。https://rief-jp.org/ct8/150442

 

 しかし、先進国はグリーン気候ファンド(GCF)の創設には実現したが、コペンハーゲンで合意したはずのNCQGの資金提供は「グリーン気候基金(GCF)」への出資配分にとどまっている。コペン合意は、世界の気温の上昇をパリ協定2条で定める「1.5℃目標」「2.0℃目標」の範囲内に抑制する一方で、同4条による今世紀後半での排出と吸収の均衡の達成と、途上国のニーズと優先事項に配慮した長期目標として位置づけていた。

 

 しかし、途上国が満足できる規模の先進国からの資金供給が伴わないままの状態が続くことから、途上国側の不満が増大、気候変動の進展も加速する中で、2022年に先進国と途上国はNCQGの特別作業計画を改めて開始した。今回のCOPでその報告に基づいた決定が模索されていた。

 

 途上国側はコペン合意を大幅に上回る資金拠出を先進国側に要求していた。途上国での気候対策の必要資金は、2030年までに年平均5500億~2兆5000億㌦に上るとされる。先進国側が土壇場で提示した年3000億㌦の拠出は、議長提案を2割上回るが、途上国の要求額とは依然、大きな開きがある。

 

 英メディアの報道によると、途上国は22日の議長国提案に対して強く反発した。同金額は、貧困層が低炭素経済に移行し、異常気象の影響に適応するために必要な額をはるかに下回っているとの批判だ。途上国側のこのため、先進国からの資金提供額を増やすための外交努力が水面下で進められた。

 

 その結果、「3000億㌦」案が、EUおよび英国、米国、オーストラリアを含む複数の国々により、示されたという。しかし、英ガーディアン紙は、同案に抵抗する国として、日本、スイス、ニュージーランドの3カ国が含まれていると報道した。ただ3000億㌦案に対しても途上国側の反発は強い。

 

 このため、アントニオ・グテーレス国連事務総長が各国政府に対して、より高い数字を提示するよう働きかけていると報じられている。ただ、先進国側がさらに譲歩をするか、あるいは途上国側が譲歩するかは、すでに会期を1日延長する中での追加交渉だけに、熟慮の時間は限られており、合意が得られないまま閉幕する可能性も浮上している。

 

  環境NGOの一部からは、「悪い合意をするよりも、合意なき決着の方がまだましだ。なぜなら、(先進国は)単に数字の増額を約束するだけで、(コペン合意のように)実行しない空虚な約束よりは、合意をしない方がましだ」(Brandon Wu of ActionAid)の声も上がっている。

 

 一方で、米国がトランプ大統領に移行し、パリ協定から離脱すると、米国抜きの先進国による資金拠出額はさらに減少する可能性は濃厚とされる。さらに、2025年にはドイツ、カナダ等でも選挙が予定され、現行の気候対策を重視する政権が後退し、右派政権が誕生する可能性もある。そうなると、今回、双方にとって不満足であっても、最低限の資金拠出枠を確保しておく方が得策との指摘もある。

 

 また3000億㌦を政府ベースの無償資金援助と位置付けると、それに加えて、化石燃料や高炭素活動に対する各国で想定される新たな課税や、途上国でのカーボンクレジット事業による資金配分、太陽光発電や風力発電などの途上国での再エネプロジェクト 等による民間投資による資金流入等も想定される。

 

 先進国が作成した草案では年3000億㌦に、これらの複数の追加的資金供給を合わせると、途上国は2035年までに少なくとも年1兆3000億㌦の気候変動対策資金を獲得できるとしているという。先進国側も産業革命以降の歴史的な先進国側の累積排出量が今日の気候変動の要因になっていることを踏まえると、途上国の要求を「交渉決裂」として拒否するわけにはいかないという立場にある。

 

 環境NGOの中には、こうした先進国の歴史的責任を踏まえると、先進国が負担すべき金額は、年間5兆㌦~7兆㌦というレベルに匹敵すると主張する向きもいる。

 

https://www.theguardian.com/environment/2024/nov/23/cop29-wealthy-countries-agree-to-raise-climate-finance-offer-to-300bn-a-year