経産・環境両省。新たな「NDC」目標として2035年度60%減(13年度比)、40年度73%減(同)案を提示。途上国含む世界平均と同レベル。先進国水準に達せず(RIEF)
2024-12-25 01:07:25
経済産業省と環境省は24日、パリ協定に基づく新たな日本の「国別削減目標(NDC)」として、2035年度60%減(2013年度比)、40年度73%減(同)とする削減目標案で合意した。これは途上国も含めた世界全体の平均削減目標とほぼ同じレベル。脱炭素社会の早期実現を求める企業グループの「日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)は35年75%(以上)減を、環境NGO等は80%減を求めたが、両省案は経団連の提案と同じ60%減にとどめた。先進国としての貢献には程遠いと言わざるを得ない。
パリ協定に基づく改定NDCは、2月中に国連気候変動枠組み条約事務局(UNFCCC)への提出を義務付けられている。すでに英国は81%削減(1990年比)、ブラジル59%~67%減(2005年比)、米国61~66%減(同)などを提出、あるいは宣言しているほか、アラブ首長国連邦(UAE)、ボツワナ等も提出している。日本の両省合意案の35年目標は、来月に退任するバイデン米政権が提出した目標値と比べても、下限のレベルにとどまる。
両省の35年度目標の選定作業(上の図表)では、現行の2030年度目標の46%減(2013年度比)と2050年度のネットゼロにする道筋について「① 上に凸の経路 ② 直線の経路 ③ 下に凸の経路」とする3経路を示した上で、「排出削減と経済成長の同時実現に向けた予見可能性を高める観点から、直線的な経路を軸に検討を進めることでどうか」として、35年度60%減、40年度73%減とした。
環境NGOの気候ネットワークが、これらの削減率を2019年比で分析したところ、それぞれ、52%減、67%減と削減率が縮まる。さらに、両省案では目標年にだけ吸収分を勘定しており、実質的にはさらに低くなる。気候ネットワークは「IPCCの水準と基準年の異なる形で紛らわしい削減目標による3案を示した上で、中央値を落としどころとしているが、気候対策としては極めて低いものだ。経済成長の実現という点でも根拠もなく説得力に欠ける」と指摘している。
国際NGOの「Climate Action Tracker」は、パリ協定の「1.5℃目標」と整合させるには、日本は30年に66%以上、35年に81%以上の削減目標が必要としている。両省は、こうした内外の視線を受けつつ、「先進国」としてのプライドだけを維持するために、都合のいい数字を寄せ集めて取り繕った形でもある。
両省は、40年度での部門ごとの削減目標の内訳も示した。産業部門57~61%減(現状の30年度目標は38%減)、オフィスなどの業務部門74~83%減(同51%減)、家庭部門71~81%減(同66%減)、運輸部門(自動車等)64~82%減(同35%減)、発電所などのエネルギー転換部門81~91%減(同47%減)。ほぼ全部門で大幅削減を見込む内容だ。

ただ、現状の部門別排出量でみると、エネ転部門が4割、産業と運輸両部門の合計が同等の4割を占めている。これらの部門だけで日本全体の8割強の排出量を占める。ところが、7~8割の削減目標を示された家庭部門の現状の排出量は4.8%でしかない。排出削減の費用対効果の観点からいえば、排出量の多い部門での削減を集中的に行うことが効果的だが、両省のスタンスは「国民運動」に持ち込み、エネルギー部門・産業部門の削減費用を公的資金でカバーしようとする形といえる。
両省によると、家庭部門については、省エネの徹底や脱炭素電源の利用、ライフスタイルの転換を進めて家庭からのGHG削減を進めるとしている。そのため家庭での生活様式を改める行動変容が軸になると指摘している。家庭の照明のLED化を促すほか、省エネ家電への買い替え、住宅の断熱化、ヒートポンプなどの高効率給湯器の利用、家庭での太陽光発電の導入などを対策としてあげている。
GHG排出量を国全体で確実に削減することよりも、温暖化対策に乗じて、消費拡大を家計に求める形にも見える。これでは、どこを見た気候対策なのかが問われそうだ。メディアによると、浅尾慶一郎環境相は24日の会見で「これまで日本の(排出削減の)経路は着実に実現できている。決めたことをしっかりと実現していくことによって、他国から評価されると思っている」と述べたとしている。
https://kikonet.org/content/37006
https://foejapan.org/issue/20241212/21596/
https://digital.asahi.com/articles/ASSDS25ZFSDSULBH00GM.html
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA198EM0Z11C24A2000000/?type=my#AAAUAgAAMA

































Research Institute for Environmental Finance