日本製鉄。茨城・鹿島地区の高炉1基を休止へ。国内の鉄鋼生産体制見直しの一環。国内10基体制にシフト。高炉からのCO2排出量削減を求める環境NGOも一定の評価(各紙)
2025-03-31 16:09:05
各紙の報道によると、日本製鉄は31日、東日本製鉄所鹿島地区(茨城県鹿嶋市)の第3高炉(炉容積5370立方m)を休止する方針を決めたと報じられた。同社はこれまでも、国内の鉄鋼需要の減少を受けて生産体制の見直しを進めており、今回の高炉休止で国内10基体制となる。今回の高炉の休止により、生産体制縮小は一区切りついた形となり、今後は高付加価値製品への投資を進め、海外の成長市場の需要を取り込んで収益力を高めるとしている。
共同通信が報じた。日鉄の鹿島地区には高炉が2基あり、そのうち1基を休止する。休止の時期は示していない。同地区の2023年度の粗鋼生産量は643万㌧で、今回の1基休止に伴い3割程度減る見通しとしている。休止する高炉に従事している従業員については、地区内での配置転換などで対応するほか、うち約80人は東日本製鉄所君津地区(千葉県君津市)に転勤する予定。
グローバルな製鉄業については、国際的な鉄鋼産業の過剰供給体制からの脱却が長年の課題となっていることに加えて、石炭を燃焼させる高炉での鉄鋼生産からの大量のCO2排出量削減を進めるという両方の課題への対応が、喫緊に求められている。
日鉄は、今回の鹿島地区の高炉休止の後、国内で10基となる高炉のうち、北九州市の九州製鉄所八幡地区の高炉1基については、2030年までに電炉へ転換する計画にしている。ただ、残りの9基については、2050年までの間に電炉、直接還元炉、または高炉への水素の吹込みや炭素回収を利用したSuper COURSEのいずれかに転換すると言及しているものの、具体的な転換計画は示していない。 特に大幅な排出量削減が鍵となる2030年代の詳細なロードマップは発表されていない。
脱炭素化の視点から、同社に対してCO2排出量の削減要請をしてきた国際NGOのスティールウォッチは、今回の日鉄の高炉休止方針について「前向きな一歩だが、これまで同社が達成してきた排出削減の多くは、設備の停止によるものにとどまっている。国内事業の本格的な脱炭素化を実現するためには、石炭を使った製造からの早急な脱却と、工場のゼロエミッション化に向けた抜本的な転換が求められる」とコメントしている。
直近の日鉄の高炉事業の整理・見直しの取り組みでは、2020年に九州製鉄所八幡地区小倉の高炉1基を休止した後、21年に瀬戸内製鉄所呉地区(広島県呉市)の高炉2基と関西製鉄所和歌山地区(和歌山市)の高炉1基も止めた。これらの一連の改革で、日鉄全体の年間粗鋼生産能力は5000万㌧から4000万㌧に減少する。高炉休止によって年1500億円のコスト削減効果を見込んでいる。
鉄鋼生産での脱炭素化には、石炭の代わりに水素を鉄鉱石の還元に活用する「グリーンスティール」の製造技術の高度化・低コスト化が国際的に求められている。一方で、過剰生産能力を抱える中国の鉄鋼業は、低コストの旧来型の高炉による製鉄・鋼材での輸出攻勢を続けており、鋼材価格の低迷が続いていることが、脱炭素化への投資増大が足かせになっているとの指摘もある。
スティールウォッチはこれまで、日鉄の石炭を使った高炉技術への依存について、化石燃料を使用する鉄鋼生産を長引かせるだけだと指摘してきた。日本製鉄が世界で競争力を維持するためには、1.5℃目標に沿った脱炭素化の道筋を設定し、全ての高炉の移行計画を早急に明示し、脱炭素鉄鋼技術を生かした「グリーンスティール」生産分野でリーダーシップを発揮できるかにかかっているといえる。

































Research Institute for Environmental Finance