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U-NEXT.HD子会社の「U-POWER」。太陽光発電等の出力制御問題を解決し、既存再エネ事業者の「FIP化」を支援する「蓄電設置+FIP移行」サービスを開発・提供へ。まず九州で開始(RIEF)

2025-06-24 18:40:17

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上図は、大型蓄電施設を併設した太陽光発電所のイメージ=U-POWERのサイトから引用)

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 U-NEXT HOLDINGS子会社の電力小売業のU-POWERは、太陽光発電等の再エネ電力の出力制御問題に対応するため、太陽光発電事業者向けに、蓄電池の無償設置と、現行の固定価格買取制度(FIT)からフィードインプレミアム(FIP)制度への移行を支援するサービス提供を始めた。太陽光発電では夏場等の発電増大時に、送配電網を持つ大手電力から出力制御措置を受けるケースがあるが、蓄電池の併設で発電電力を無駄にせずに済むほか、FIPに切り替えることで発電事業者が販売先を柔軟に選ぶことができるメリットを得られる。当面、夏場の出力制御問題が頻繁に起きる九州地域で重点的に行い、将来は全国展開も目指すとしている。

 

 再エネ電力等の新電力各社は、顧客への電力供給に際しては、既存大手電力の送配電網を経由して提供している。ただ、大手の電力各社は、夏場等で電力需要増が生じた際、送電容量確保のため、発電サイドに対して出力制御を実施するケースが少なくない。出力制御を受けると、発電事業者は売電収入が減少する。

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 特に九州では、日射量の多さと広大な土地を背景に大規模なメガソーラー等が多いが、その一方で、原発の再稼働や季節的な電力需要の低下などの影響で、送配電網を持つ九州電力による出力制御の発動が再三発生し、深刻化している。経産省資源エネルギー庁のデータによると、2023年度の年間制御電力量は5年前と比べて約13倍になっているとされる。

 

 再エネ事業者が蓄電設備を併設すれば出力制御を受けても、その間の発電電力を無駄にせずに済む。だが設備投資負担が生じる。そこでU-POWERは、同社が蓄電池を無償で発電事業者に提供・設置し、同事業者の従来からのFIT契約をFIPへの切り替えも同社が引き受ける。同社自体は、FIP転換した事業者から売電収入の一定割合を得ることになる。

 

  FIPは発電事業者が販売先の企業を選ぶことができることから、再エネ発電事業者にとって、柔軟な制度といえる。同社は、FIP制度の適用を受ける風力発電の電力を、コーポレートPPA(電力購入契約)によって、電力小売り事業者に販売するなどの取り組みもすでに実施している。https://rief-jp.org/ct4/150393?ctid=

 

 今回の場合、蓄電地併設による電力の保存機能アップと、発電事業者が売却先を選べるFIP制度の活用によって、再エネ事業者は、自らの発電電力を、需要が高まる時間帯に販売する「タイムシフト売電」とすることが可能になる。同社では「出力制御の回避と収益改善を同時に実現しながら、再エネの有効活用を促進できる」としている。

 

 同社が再エネ事業者に提供するサービスは、①蓄電池無償設置型(発電事業は継続したいが設備導入が難しい事業者向け)と、②発電所買い取り型(発電設備を手放したい事業者向け)の2種類。①の場合、発電事業者は、「FIT認定単価×充放電ロスを受ける前の発電量相当」に基づく、安定的な売電収入を得ることができるとしている。

 

 同社では、再エネ発電事業の事業継続意思に応じて、両サービスをメニュー化して提供していくとしている。また蓄電池併用の再エネ事業が増えることで、電力需要が高まる時間帯でも安定的に電力を供給できることになり、電力系統全体の安定化にも貢献するとしている。「再エネの主力電源化と脱炭素社会の実現に向けた具体的な一歩になる」と意義を強調している。

 

 同社は当面、出力制御問題が頻繁に発生する九州エリアで同事業を展開するが、同地域にとどまらず、他地域の実情も視野に入れて全国的に展開していく方針だ。また同サービスを起点として、蓄電池を活用したアグリゲーター事業への本格参入を目指し、再エネ電力の活用促進や自社の電力小売部門との連携による、総合エネルギーサービスの強化を進めていくとしている。

 

https://unext-hd.co.jp/newsrelease/2025/06/upower-largeess-freeprovision.html