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日豪の研究者が、石炭火力等から排出されるCO2を回収・貯留するCCS技術を効率化するハイブリッド分離膜材料を開発(RIEF)

2017-11-04 07:26:19

CCS3キャプチャ

 

 石炭火力等からのCO2を回収・貯留するCCS技術の開発が急がれるが、これまで回収のネックとなっていた燃焼排ガス中にの不純成分を選択的に分離回収できるハイブリッド分離膜材料を、日豪の研究者が共同開発した。CCSの実用化への期待が高まってきた。

 

 CCS用のハイブリッド分離膜材料を開発したのは、東京農工大学大学院工学府応用化学専攻の兼橋真二特任助教と、オーストラリア州立メルボルン大学化学工学科のSandra Kentish教授の二人。http://rief-jp.org/ct12/70900

 

 温暖化対策では、エネルギーや燃焼源を、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換や省エネ化が各国で進められている。だが、成長する途上国等のエネルギー需要の確保等を想定すると、石炭等の化石燃料源を前提として排出されるCO2を回収・貯留するCCS技術の実用化への期待も大きい。

 

 ただ、CCSは原理的には明快だが、長期的に安定してCO2を回収・貯留させる技術の開発と、コストダウンが課題となっている。回収面では、一般的な高分子分離膜材料の場合、火力発電などからの排ガスに含まれる不純物の水や窒素酸化物や硫化水素などの影響で回収効率が下がるが、開発したハイブリッド分離膜は優れた耐性を維持できるという。

 

 また、回収材料として金属有機構造体が使われることもあるが、ハイブリッド分離膜はそれよりも高い分離性能を維持するという。兼橋特任助教は「実際のガス分離プロセスでも有用なハイブリッド分離膜材料の設計指針を提供することが可能となる」と指摘している。

 

 兼橋特任助教らは、今後、実際の製品となる分離膜の薄膜化や分離膜モジュールの作製のほか、CCSのパイロットプラント等での実証試験などに取り組む計画だ。また今回開発したハイブリッド分離膜は、CO2の分離以外にも、クリーンエネルギーである水素精製や天然ガス精製にも応用できるという。

 

https://www.tuat.ac.jp/outline/disclosure/pressrelease/2017/20171102_01.html