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年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、ESG投資の一環としてグローバル環境株式指数を公募。気候変動への対応目指す。運用は「マイルド」な方式を志向(RIEF)

2017-11-04 07:21:12

GPIFキャプチャ

 

 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は気候変動を中心とした環境問題を重視し、グローバル株式を対象とする環境指数の公募を始めた。GPIFは先に国内株についてESG(環境・社会・ガバナンス)の要素を考慮した3つの指数を採用したが、 環境指数の採用は見送ってきた。しかし、気候変動は国境を越えた国際的な環境課題であることから、グローバル株式に限定した環境指数を公募に踏み切った。

 

 公募は来年1月末まで受け付ける。市場に提供されている既存の環境指数はCO2排出量の多い業種や企業を除外するネガティブ・スクリーニングの方式などがあるが、GPIFは環境問題に取り組む企業を加点方式で選ぶベストインクラス方式等を想定しており、気候変動ターゲットの指数としてはマイルドなものになりそうだ。

 

GPIF3キャプチャ

 

 公募に際して8項目の条件を示した。いずれもすべて満たす必要がある。

 

 ①日本を除くグローバル株と、日本株、それぞれを構成銘柄とする2つの指標を提案し、比較のため日本株を含むグローバル株での指標の提出も望ましい

 ②特定の業種・業態の企業を一律に除外する(ネガティブ・スクリーニング)の手 法によらず、環境の課題解決を後押しするコンセプトに基づく指数とする

 ③時価総額加重指数(親指数)と同程度のリターンと、長期的にリスク調整後のリ ターンの改善がともに期待される指数であり、かつ過去のパフォーマンスやバックテストの結果 で概ね裏付けられる

 ④ 環境中心に ESG 要素のみに基づき銘柄選定を行う

 ⑤ 評価手法の客観性、中立性、透明性が高い

 ⑥ パッシブ運用に必要な指数データの適切開示

 ⑦ 特定の銘柄、スタイル等への過度な偏りがない

 ⑧ 相当程度の投資が可能なキャパシティがある

 

GPIF2キャプチャ

 

 具体的な応募については、複数の指数の応募や、環境に関する複数のテーマを盛り込んだ指数(例えば、気候変 動と水資源問題など)も認める。また、企業活動によるCO2排出量とともに排出の改善度も評価する指数や、同業種・ 同業態内で低炭素社会への移行に貢献する企業を評価する指数(ベスト・イン・クラス方式)、環境に関する企業の情報 開示を促進する指数などを例示している。

 

 応募企業は、指数構築やESG 調査で十分な実績がある、もしくは十分な実績がある外部ESG 評価機関のデータを活用して指数を算出した実績がある、 過去に開発した指数に連動した運用が実際に行われている、日本に拠点を有する、などを条件とした。日本に拠点を置く外資も可能。

 

 高橋則広GPIF理事長は「気候変動を中心とした環境問題は、ユニバーサルオーナー(資本市場全体に幅広く分散して投資している大規模な投資家)かつ長期投資家として、引き続き重要な ESG 課題と認識している。既存の環境株式指数では、気候変動などに取り組む多様な企業を評価し、市場全体の底上げや持続的な成長を目指すものは限定されている。(そこで)グローバル環境指数の公募を行う」とのコメントを出している。

 

 GPIFは6月末までに国内株式でESG分野に約1兆円を投じている。今後、内外合わせて3兆円まで増額する計画だ。また世界銀行グループとESG債券投資に関するリスク分析や評価基準などの研究も初めており、今後、グリーンボンドなどの債券投資でも本格的なESG投資に踏み出すかが注目されている。

 

http://www.gpif.go.jp/topics/2017/pdf/1101_global_koubo.pdf