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フランス・オラノ(旧アレバ)がフィンランドで建設中の欧州加圧水型原発(EPR)、10年の完成遅れで、新たに安全性の課題判明。来年1月の稼働見通し再び微妙に(RIEF)

2019-02-25 22:23:43

Fin1キャプチャ

 

 フランスの原発開発会社オラノ(旧アレバ)が製造した「第3世代+」の原発とされる欧州加圧水型炉(EPR)を建設中のフィンランドのオルキルオト原発3号機で、加圧器に異常振動が発生、来年1月に予定されている稼働が微妙になった。同原発は当初2009年稼動の予定が、不調が続き、10年延長されてきた。さらに延長される可能性も出てきた。

 

 (写真は、開発したEPRの実用化で苦慮するオラノ社)

 

 オラノが開発したEPR(European Pressure Reactor)は、現在、日本などが採用している第3世代原発原発よりも、安全性を高め、飛行機の衝突や内圧に耐える厚さが2.6mの2層のコンクリート壁等を備えていることから、「第3世代+原発」とされてきた。

 

 アレバが2005年8月に最初に建設に着手したのがフィンランドのオルキルオト原発3号機(発電容量1.6GW)。現在、同原発のほかフランスのフラマンヴィル3号機、英国ヒンクリー・ポイントC、さらに中国の2機と、合計5機の建設計画が進んでいる。このうちオルキルオト原発は当初2009年に完成の予定だった。

 

外観はほぼ完成しているオルキルオト原発3号機
外観は完成しているオルキルオト原発3号機

 

 しかし、工事の進捗が思わしくないほか、東京電力福島第一原発事故後に安全対策を強化したことなどもあって、すでに10年の遅れと、建設コストの大幅増加が続いている。

 

 今回判明した加圧器の異常振動は、反応器の一次回路部品の一部が、安全基準を超える振動を示したもので、原因は調査中。フィンランドの原子力規制当局のPekka Valikangas氏は記者会見で、「テストの結果、今回確認された振動は安全とは認められない」と述べ、同国の放射線・原子力安全局(STUK)による安全性評価が遅れる可能性を示唆した。

 

 問題が判明した加圧器はその一部が、原子炉の冷却システムと連動したパイプラインの中につながっており、原子炉の圧力バランスを調整する役割を担っているという。

 

 Valikangas氏は今回の事態で、来年1月に予定されている稼働が再度遅れるかどうかについては、「(運営主体のフィンランド産業電力(TVO))とオラノ社が問題をどう解決するかだ」と慎重な発言にとどめている。

 

オルキルオト原子炉の内部
オルキルオト原子炉の内部

 

 ただ、STUKのアセスメントは経済雇用省が稼動を認可するうえでの前提条件であるだけに、今後の展開が注目される。STUKはTVOに対して、対応策として二つのオプションを提示する見通しとされる。オプションの中身は公表されていない。

 

  オルキルオト原発3号機は当初コスト見積もりは、37億ユーロ(約4800億円)だった。だが、10年におよぶ延期の結果、27億ユーロ以上オーバーしているという。このため昨年11月、オラノがTVOに対して、4億5000万ユーロ(約585億円)を遅延金として払うほか、来年1月の稼働予定からさらに遅れる場合は、毎月2000万ユーロ(約26億円)の遅延金を払う契約を結んでいる。

 

 フィンラドは国内の電力の25%を隣国のスウェーデン、ロシアから輸入しており、特に産業界では安定的な自主電力へのニーズが高い。

 

https://wsau.com/news/articles/2019/feb/22/exclusive-safety-problem-found-at-arevas-finnish-reactor-before-start-up-regulator/