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関西電力、管内3カ所の石油火力発電所の停止を発表。石炭よりCO2排出は少ないがコスト高。管内の電力需要の伸び悩みも反映。原発再稼働で供給超過の調整も(RIEF)

2019-03-03 22:05:05

kanden1キャプチャ

 

 関西電力は1日、管内の3つの石油火力発電所の廃止・停止を発表した。廃止するのは、和歌山県・海南発電所。停止するのは、同・御坊発電所、兵庫県・奥多々良発電所。いずれも4月1日から。石油火力は石炭や液化天然ガス(LNG)火力に比べて発電コストが2~3割高く、点検等にかかる費用の抑制と、「節電の定着等で関西の電力需要の減少」をあげている。

 

 (写真は和歌山県にある関西電力の海南発電所)

 

 海南発電所は関電の石油火力で最も古い。1970年代の高度成長に伴う需要の急増に対応するため、1~4号機(計210万kW)の発電容量を持っていたが、石炭やLNGに比べてコストが高いうえ、関西圏での電力需要が低迷していることから、2017年に1~3号機を停止していた。

 

 今回、残る4号機も停止するともに発電所全体を廃止するとした。1984年11月稼働の御坊発電所2号機、1975年6月稼働の奥多々良木発電所3号機も同様の理由で発電を停止する。同社では、2018年に京都府の宮津エネルギー研究所にある長期停止中の石油火力2基(75万kW)も停止している。

 

 海南発電所等については、「今後、発電設備の除却工事や跡地活用の検討を進める」としており、発電事業へのリプレースではなく、他の事業への転用を目指す見通し。経済産業省に発電事業変更届出書を出すとしている。

 

 石油火力は、燃料の運搬・貯蔵が容易なことから、関電では今回停止した発電所以外に、兵庫県の赤穂発電所、相生発電所が稼働中。CO2排出量は石炭火力に比べて2割ほど少ないがLNGよりは多い。また硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)排出量も石炭より各2割ほど少ない。逆にコストは石炭、LNGより高く、燃料価格も変動し易い。

 

再稼働した美浜原発
再稼働した高浜原発3、4号機

 

 一方、関電は2017年夏に福井県の高浜原発3、4号機を、18年には大飯原発3、4号機をそれぞれ再稼働させ、原発4基の再稼働体制となっている。2020年度ごろには、美浜3号機、高浜1、2号機の再稼働も目指しており、発電コストの安い既存の原発電力の供給を見込めることから、コスト高の石油火力停止を広げることにしたとみられる。

 

 ただ、原発については廃炉にする美浜原発1、2号機、大飯1、2号機について、既存の引き当て分を上回る廃炉費用を計上しなければならず、これ等を含めると、全発電費用の軽減はそれほど進まないとみられる。

 

https://www.kepco.co.jp/energy_supply/energy/thermal_power/fuel/index.html