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韓国政府、韓国版「グリーンタクソノミー」案を公表。太陽光、風力等61産業を分類。原発は除外、天然ガスは含める。EUタクソノミー案を土台に。来年中にグリーン投資に充当(各紙)

2021-11-01 18:14:33

Korea 001キャプチャ

 

 各紙の報道によると、韓国は韓国版グリーンタクソノミー案を公表した。対象となるグリーン事業活動は太陽光、風力、水力等の再エネ発電のほか、天然ガス火力発電、エコカー製造等の合計61産業を「グリーン経済活動」として分類した。原子力発電は対象から除外した。EUで論点になっている天然ガス(LNG)は含めた。今後、産業界や市民団体などの意見を踏まえて、年末までに確定し、来年中に機関投資家等の投資対象として推奨する方針という。

 

 朝鮮日報が伝えた。タクソノミー案は韓国政府の環境部が作成した。正式には「韓国型グリーン分類体系および適用ガイド案」で、「Kタクソノミー(taxonomy=分類体系)」とも呼ばれる。

 

 グリーン事業のタクソノミー分類はEUが先行している。年内にも気候緩和・適応の両分野についてのリストアップを完了する予定。韓国版タクソノミーはこうしたEUの作業を踏まえて整備した。今年4月に環境技術産業法を改正してから、タクソノミー作成作業を開始したとされ、原案の公表まで6カ月という短期間での仕上げとなった。

 

 基本的にEUのタクソノミーをコピーしたことになる。海外の環境政策をコピーして自国版と称する手法は、日本政府のグリーンボンドガイドライン等と同じ。ただ、EUのタクソノミーでは個別事業を分類するDelegated Act(DA)において、原発と天然ガスの取り扱いが現時点でも論点となっており、年末まで決着が先送りされている。

 

 この点で韓国のタクソノミー案では、原発は除外する一方で、天然ガスはグリーン事業として認める分類とする方向性を明瞭に打ち出した。原発については文在寅大統領が「脱原発」を掲げてきたことから、除外扱いにしたとみられる。天然ガスはEUと同様、脱化石燃料の移行期のエネルギー源として不可欠との判断によるとみられる。

 

 朝鮮日報では、韓国科学技術院(KAIST)のチョン・ヨンフン教授の意見として「結局は原子力関連技術開発に対する資金調達が滞り、再エネの方にだけ投資が集まるだろう。政府の無理な脱原発政策の延長線上にある」とのコメントを掲載している。

 

 韓国は国内では「脱原発」政策を掲げる。一方で、原発輸出には力を入れており、各国が競争を高めている小型モジュール原子炉(SMR)等の開発には積極的だ。朝鮮日報は、こうした原発の扱いについて、EUの欧州委員会共同研究センター(JRC)が3月に出した報告書で「風力・太陽光などに比べ、原子力が環境と健康にさらに有害だと見る科学的根拠はない」との内容を紹介している。

 

 韓国政府は、タクソノミーを整備するとともに、民間資金をこれらグリーン産業・事業への投融資に誘導することを目指している。整備されたタクソノミーを受けて、民間事業体が取り組むグリーン事業のため資金調達としてのグリーンボンド等の発行増が見込まれる。政府としても、850兆ウォン(約83兆円)の資産を持つ国民年金などの「グリーン投資」を促していく方針という。

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2021/10/27/2021102780069.html