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岡山県美作市、全国初の太陽光発電税を導入する条例可決。税率は1㎡当たり50円。太陽光発電設備設置に伴う防災対策費用等に充当。全国に広がる可能性も(RIEF)

2021-12-23 13:33:46

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  岡山県美作市の市議会は21日、市内に設置されている事業用太陽光発電所に対して、太陽光パネルの設置面積に応じて事業者に課税する条例案を賛成多数で可決した。税率は1㎡当たり50円。税収は発電施設周辺の防災対策費用に充当するとしている。法定外税として国の同意を得たうえで、実施に移す計画だ。実施されると、太陽光発電施設を対象とした課税は全国でも初めてになる。

 

 条例案は、美作市が導入を目指して提案した。温暖化の進展による自然災害の増大が自治体にとって重要な課題となっている。特に、山間部等に建設される太陽光発電設備では、周辺の土地等の環境が急激に形態が変化し、下流域への土砂災害、河川洪水などが懸念される。同市には280カ所の太陽光発電設備がすでに設置されているという。

 

「パネル税」条例を可決した美作市市議会(岡山テレビより)
「パネル税」条例を可決した美作市市議会(岡山テレビより)

 

 市ではこうした現状を踏まえ、太陽光発電設備周辺の防災対策のほか、周辺住民や地域への生活環境対策、自然環境保全対策等の費用を捻出するために課税する方針を打ち出していた。法定外目的税として「事業用発電パネル税」を提案した。

 

 対象課税主体は、市の区域内に設置された太陽光発電設備を使用し、発電を行う事業とする。課税標準は、太陽光パネルの総面積とし、税率は1㎡当たり50円。課税期間は5年とし、条例施行後5年ごとに、見直しを実施、必要があれば「所要の措置を講ずる」として延長も視野に入れている。

 

 個人の住宅の屋根や、工場等の建築物の屋根等の一部に設置した太陽光発電設備は非課税とする。また、発電認定容量が10kW未満、発電量50kW未満で、事業区域に砂防指定地、地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域、土砂災害警戒区域、土砂災害特別警戒区域等を含まない場合等は除外する。

 


 同市の萩原誠司市長は報道に対して、「河川カメラの更新など、いろいろな所に防災上のニーズが生じているので、それに対応していく事を考えている。特殊な状況が生じた自治体が、法定外目的税や法定外普通税を導入する事はとても地方自治にとって良い事。そういう意味での先行事例になればいい」と述べている。

 

 同市は緩やかな山林地帯が広がっており、太陽光発電の適地とされる。昨年12月には、国内最大級の出力約260MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)が完成している。同施設の場合、事業区域は、東京ドーム87個分に相当する約410haに約75万枚のパネルを敷き詰めており、単純計算すると年間6000万円以上の税額になる計算だ。



 市の試算では対象となる発電所全部に課税すると税収は年間約1億1000万円になる。条例の施行には、国(総務省)の同意が必要で、国との協議はおおむね3カ月ほどかかるとされる。国は、「2050年ネットゼロ」の目標達成のために、太陽光発電等の再生可能エネルギー発電を奨励しているが、一方で、災害の増大等で太陽光発電設備を抱える自治体の多くが美作市と同様の課題に直面しており、「パネル税」は全国に広がりそうだ。

 

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