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日銀、第一回気候変動オペで約2兆円を民間金融機関に供給。金利はゼロ%。3メガバンクはじめ、大手地銀等に「グリーンローン」の拡大を促す。中小金融機関は事実上除外(RIEF)

2021-12-24 23:15:33

BOJ002キャプチャ

 

 日本銀行は23日、第一回の気候変動オペ(気候変動対応を支援するための資金供給オペレーション)として、43の金融機関を対象に、総額約2兆円の資金供給を決めた。24日に各金融機関に貸し付けた。気候オペの金利はゼロ%。無コスト資金を得た金融機関は企業の気候変動事業等に投融資することになる。

 

  第一回の貸出総額は2兆483億円。対象金融機関が「わが国の気候変動対応に資する投融資残高」として示した2兆4761億円が今回の貸出上限となる。返済期間は23年1月30日まで。日銀は原則として年2回オペを実施する。

 

 オペの対象金融機関43機関は、3メガバンクのほか、日本政策投資銀行、農林中央金庫、ゆうちょ銀行、主要地方銀行等。TCFD提言の4項目(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目 標)および投融資の目標・実績を開示している金融機関等を選んだとしている。信金中央金庫は対象だが、個々の信用金庫や信用組合等は選ばれず、地方銀行も全体の3割弱。中小金融機関は事実上、除外された形だ。

 

 オペの貸付期間は原則1年だが、繰り返し利用による長期融資を前提としている。実施期間は、金融調節上の支障がない限り2031年3月末までとしており、政府の2030年度の温室効果ガス46%削減目標に合わせている。国全体の削減効果があがらない状況に陥ると、日銀が懸命にゼロ%資金を金融機関に供給して融資を後押しすることになりそうだ。「グリーン量的緩和」の要素もある。

 

 金融機関による投融資基準は、①国際原則・政府の指針に適合する投融資 (貸付金融機関は、基準とする国際原則・政府の指針を開示する)②として①に準じる投融資(金融機関が独自基準を定めている場合は、その内容を開示する)としている。個々の融資先は開示しなくてもいいということだ。

 

 日銀による気候ファイナンスについては「何をもってグリーンボンド、グリーンレンディングなどと判断するかの統一基準が世界的にも高まっていない中、金融機関にその判断を強いるこの仕組みは、ややフライング的なものでもあり、また金融機関に過大な負担を強いるものでもあるなど、制度設計には問題がある。ただし、脱炭素を金融面から推し進める一つの力となることは期待できるだろう」(元日銀審議委員、野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏)の指摘もある。https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2021/fis/kiuchi/1207

 

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel211223a.pdf

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210922c.pdf