環境省。関西電力子会社に、CCSの委託事業を無断で再委託されたうえ、人件費の水増し請求等をフリーパスで支払い。約15年間も(?)。杜撰な委託事業の管理体制が露呈(RIEF)
2024-09-13 22:21:47
関西電力の子会社が、環境省からの委託業務を同省に無断で他の業者に再委託し、膨らんだ費用負担のため人件費水増し等の不正操作を行っていたことがわかった。関西電力の社外コンプライアンス窓口への内部通報で判明した。同社の不正工作は、約15年前から続いていた可能性もあるという。環境省は「事実確認をした上で、事業者への措置を厳正に行う」と呑気なコメントをしている。同省をはじめ霞が関の官庁の多くは、行政業務を外部委託することが常道化しており、行政機関自体の政策立案能力の低下の一因になっているとされるが、今回の問題発覚で、それだけでなく、コスト意識も希薄化していることが明らかになった。
不正経理操作を行っていたのは、環境調査などを業務とするKANSOテクノス(大阪市)。関西電力の100%子会社。業務範囲としては、環境に関する研究調査、測定分析、影響予測及び評価、土木、建築、環境緑化、造園設備の調査、計画、設計、 監理及び土木、建築、とび・土工、電気、管、鋼構造物、 舗装、浚渫、塗装、防水、機械器具設置、造園工事、水力発電所設備の保有及び運転、維持、管理並びに電力の供給及び販売、産業廃棄物の運搬、処理及び加工、販売などと、多様な事業分野に及ぶ。
不正が発覚したのは、2023年度に環境省から受託したCO2の回収貯留(CCS)事業に関する事業。同社は、同事業を環境省の承認を得ないまま、他の4社に再委託した。その費用の4200万円をねん出するため、同省に要求する人件費などを、本来の金額よりも水増し請求していた。しかも、実際に再委託でかかった費用よりも1861万円多い6061万円を請求していたとされる。
委託費の虚偽再委託と経費水増しで、同省から契約以上の資金を引き出していたことになる。しかも同省は同社がこうした虚偽委託を行っていたことには気付いていなかった。同省は、CCS事業以外にも、同社に対して継続的に事業を委託し続けている。過去の委託事業でも同様の不正操作を行っていた可能性があるが、同省はこれまで全く気付いていなかったという。委託業務の成果文書等さえ提出されれば、その内容がどうであれ、経費は言いなりに払ってきたようだ。
ところが今年4月、親会社の関西電力の社外コンプライアンス窓口に対して、2023年度委託業務で不適切な人件費請求等があったと指摘する内部通報が行われた。関電およびKANSOテクノスの内部調査と、外部機関による調 査を行った結果、① KANSO テクノスから4社への再委託について、環境省の承認を受けずに実施 (その分の約 4200 万円は費用計上せず) ② 一方で、人件費及び機器損料を水増しして、未承認の再委託費分を補填したほか、未承認の再委託費以上の費用(約 1860 万円)を人件費や機器損料として計上していたことがわかった。
今問題になっている兵庫県知事についての内部通報とは異なり、中央官庁の委託費に関することだけに、こちらのほうの調査は、通報内容に沿って適切な調査が行われたようだ。
ただ、調査の過程で、KANSOテクノスの関係者らは、同省の委託事業の再委託に関しては、2013年の同省行政事業レビューにおいて同省から指摘されたコメントを受け、14年度以降、再委託の一部については同省に承認申請せず、その承認申請していない分の再委託費については、人件費や機器損料として請求することとなった(環境省の指示、了解による)旨の供述があったとしている。今回の再委託や、経理処理については、「環境省の指導」によるものとの言い分のようだ。同省は、事実関係や内容について現在調査中、としている。
同省は、23年度事業について、未承認のまま再委託を行ったことは契約違反の恐れがあるとして、9月17日に同社に立入検査を行い、その結果を踏まえた上 で、不適切に請求された委託費については同省に返還させる、としている。同様に今年度事業及び22年度以前の同社に委託した事業についても、事実確認をした上で、事業者への措置を厳正に行う、としている。
今回の不祥事について、当事者のKANSOテクノスと、環境省は、それぞれニュースリリースを発表したが、親会社の関電は、一切、同案件については報じていない。しかし、環境省等の発表では、内部通報は関電の社外コンプライアンス窓口に届いており、内部調査には同社も直接関わっていたようだ。何よりも、同社の100%子会社が引き起こした不祥事であり、親会社として明確な謝罪と再発防止の方針を示すべきではないか。
環境省については、「事業者への措置を厳正に行う」のは当然だが、15年もの間、虚偽再委託に気づかず、水増し請求への支払いを続けてきたとすれば、当然、委託した行政の側の責任も生じるだろう。さらには委託した事業の成果物が本当に役に立ってきたのかも精査すべきだ。その精査は第三者機関かジャーナリズムに委ねて、客観的な判断を得る必要がある。同省が騙されて支払った委託費のおおもとは、すべて国民からの税金に由来するのだから。
(藤井良広)
https://www.kanso.co.jp/news/article.html?itemid=66&dispmid=721&TabModule732=0

































Research Institute for Environmental Finance