台湾政府。国内で稼働中の「最後の原発」の停止作業を開始。民進党政権の「脱原発政策」が実現。ただ、国会では野党主導で、原発の運転期間延長法案が成立(各紙)
2025-05-17 22:31:00

(写真は、NHKニュースから引用)
各紙の報道によると、台湾政府の経済部(経済省)は17日、同国で稼働中の最後の原発である第3原発(南部・屛東県)の2号機の停止作業を開始したと発表した。40年間の運転期間を満了し、同日中に送電を停止する。台湾では1970年代に最初に原発が商用運転を始めて以来、今回の停止で初めて稼働中の原発ゼロとなる。ただ、法院(国会)で多数を占める野党は13日に、原発の運転期間を最長20年間延長できる改正法案を可決している。
台湾の与党民進党が、2011年の日本の東京電力福島原発事故以来進めてきた「脱原発」の政策が実現したことになる。民進党は2016年に政権を掌握。現在の頼清徳政権はこれまで国内3カ所に6基あった原発を、法定の運転期間の満了にあわせて順次停止してきた。今回の第3原発2号機が最後の1機だった。
台湾政府は、原発に代わって、LNG(液化天然ガス)を燃料とする火力発電の発電能力を増強するほか、風力や太陽光などの再生可能エネルギー発電も、電源構成に占める比率を現在の約15%から、来年には20%に引き上げる方針としている。新たな再エネ、火力発電事業には、海外企業の参入が相次いでいるという。
ただ、台湾でも半導体の生産やデータセンターの増加等に必要な電力需要に対応する必要性が産業界や野党等から指摘されている。このため民進党政権の再エネ電源等への切り替えだけで、電力需要を確保できるかは、課題とされている。現行の頼政権も、将来的に原発を再稼働させる可能性もあるとされている。
台湾政府の経済部は17日、公営の台湾電力が原発の退役などに備えて、すでにLNG火力や風力・太陽光発電を増やしてきており、電力不足に陥る懸念はないと説明している。
国会で多数を占める野党は原発再稼働を主張し、13日には運転期間を最長20年間延長できる改正法案を可決した。政権与党の民進党は将来の次世代原発において同規定を活用する議論を排除しないとする立場をとるものの、既存原発の再稼働には慎重姿勢を崩していない。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM13BXK0T10C25A5000000/
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250517/k10014808011000.html