米欧が対ロ経済制裁の対象とするロシア産原油を、日本の企業が買い入れ。制裁の例外扱いとなっている「サハリン2」事業の一環と認定。Bloombergが報道（各紙）

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米欧が対ロ経済制裁の対象とするロシア産原油を、日本の企業が買い入れ。制裁の例外扱いとなっている「サハリン2」事業の一環と認定。Bloombergが報道（各紙）

2025-06-10 14:42:21

（写真は、太陽石油のサイトから）

　Bloombergの報道によると、ロシアへの経済制裁として米国とEUが輸入禁止措置をとっているロシア産原油を、日本の企業が買い入れたことがわかった。買い入れたのは、石油などの輸入業の太陽石油（東京）。報道では、同社の担当者は同取引を認めた上で、経済産業省の要請を受けて購入したとしている。日本はエネルギー安全保障を理由に、米欧からサハリンブレンドの輸入を認められており、同省の担当者は、今回の太陽石油の買い入れについては、米国政府の確認も得ていると回答したとしている。

　同メディアは、主要7カ国（G7）の一員である日本が、「ロシアに対する制裁対象のタンカーが運ぶ原油を受け入れたという事実は、米国のトランプ政権がロシアの石油供給維持に熱心だ、という認識を強める」と指摘している。

　ロシアに対する経済政策の適用除外は、EUが５月21日に決定した第17次対ロ制裁パッケージによって、来年6月下旬まで延長されている。米国の制裁適用除外は6月28日までだが、「通常は延長される」としている。

　日本がロシア産原油を輸入するのは過去2年余りで初めて。同原油はロシア極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」で生産されるサハリンブレンド。サハリン2に関連する日本の取引は制裁対象外とされている。同事業には、三井物産と三菱商事が参加している。天然ガスと同時に原油も生産されるため、原油の輸入を禁じると同事業全体の生産に影響が生じかねないと、経産省の広報担当者は、同メディアに説明したとしている。

日本は、ロシアのウクライナ侵攻時に、西側諸国が打ち出した対ロ経済制裁に際して、「エネルギー安全保障」を理由にサハリンブレンドの輸入が認められている。報道によると、太陽石油の広報担当者はこの取引を認めた上で、経済産業省の要請を受けて購入したと説明した。

　一方の経産省の担当者も同メディアに対して、米国政府に確認したところ、日本はサハリン2からの石油輸入に、制裁対象のタンカーを利用できるとの回答を得たと説明したとしている。また、ＥＵには二次制裁がなく、日本が制裁対象のタンカーを使用しても影響を受けないという。

　同メディアが確認した船舶追跡データによると、同原油を搭載したタンカー「ボイジャー」は9日に愛媛県の菊間港に入港し、原油60万バレルを降ろした。同タンカーは、旧名「ベルナツキー・プロスペクト」。今回、バイデン前政権時代の今年1月に米財務省外国資産管理局（OFAC）が他の160隻のタンカーとともに制裁対象とした。ロシア国営海運会社ソフコムフロートは、ボイジャーを含む複数のタンカーをアラブ首長国連邦（UAE）の2社に移管するなどして、制裁回避を図っていた。

2025-06 - Voyager to JPN — 米欧が制裁対象とする石油タンカー「ボイジャー」、日本にサハリン産原油を輸送＝Source: Bloomberg

　ロシアのウクライナ侵攻前、日本の製油業者はサハリン産原油を平均して月4便輸入していた。ロシア産原油の輸入国の一部は米制裁対象のタンカーが輸送する積み荷の受け入れに消極的で、こうしたタンカーの多くは制裁対象とされた後、稼働を長きにわたり停止していた。だが、トランプ政権発足後、買い手の慎重姿勢は後退しつつある様子だ。