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「国際ローン市場協会(LMA)」、不動産向け投融資にグリーンローン原則適用の新たなガイダンス案公開。新築建物と既築建物の両方を対象に(RIEF)

2020-10-26 15:31:04

LMA001キャプチャ

 

  国際的なシンジケートローン市場に参加する金融機関で構成する「 Loan Market Association (LMA)」は、グリーンローン原則(GLP)を不動産融資に適用する2つのガイダンス案を公開した。対象となる不動産は新築の建築物に加え、既存建築物のグリーン改築も含める。LMAは両ガイダンス案へのコメントを踏まえて、開発金融分野でのセクター別ガイダンスを整備する方針。

 

 ビル等の建築物のエネルギー消費割合は、EUでは全体の40%、CO2排出量も36%と大きな割合を占めている。日本でもほぼ同様の比率だ。このため、パリ協定の目標達成に向けて、建築物のグリーン化の推進は国際的な課題として位置づけられている。

 

 現在の不動産市場では、新築のグリーンビルディングについて、米国のLEEDや英国のBREAM、日本のCASBEE等の環境評価認証制度がある。また不動産事業体自体の認証としてGRESB等が国際的に知られている。今回のLMAのガイダンスは、そうした建築物やビルディングに対して投融資をする金融機関の環境配慮のガイダンスを整備することを目指す。

 

 LMAがガイダンス対象として新築建築物だけでなく、既築建築物のリノベーションを含めるのは、EUのサステナブルファイナス行動計画のタクソノミーに既築ビルのグリーン化等も対象になっていること等を受けた対応ともみられる。不動産分野のグリーン化は、ネットゼロ目標に向けたトランジション(移行)期の主要課題でもある。

 

 ガイダンス案では、不動産ファイナンスの貸し手の金融機関と借り手の事業者の両方が、不動産取引に際して考慮すべき主要項目の分析を含めた実務的な手順と、アプリケーションの明確化に主眼を置いている。セクター別のガイダンス整備に加えて、既存のサステナビリティ・リンクド・ローン原則(SLLP)を不動産分野へ適用する手順も明確化するとしている。

 

 LMAのリーガル・アソシエイツのHannah Vanstone氏は「不動産ファイナンス分野は、明らかにわれわれを取り囲む建物の環境改善に役立つ。新規、既築両方のビルディングの環境性能を改善するための行動が金融機関に求められているのは間違いない」と指摘している。グリーンビルディングの認証に加えて、既築建築物のリノベーションへの投融資の認証手続きが整備されることは、グリーン不動産金融の需要拡大につながるとみられる。

https://www.lma.eu.com/news-publications/press-releases?id=182