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グリーンボンド等のサステナブルボンド市場、2兆㌦(約226兆円)に達する。今年だけでも1兆㌦に達する見込み(RIEF)

2021-10-13 00:44:26

ESG001キャプチャ

 

 グリーンボンドやソーシャルボンド等のサステナブルボンド(ESG債)のグローバル市場の規模が2兆㌦(約226兆円)に達した。さらに今年は年初来これまでに8000億㌦(約90兆㌦)と過去最大の発行規模となっており、このままの発行水準が続くと、今年の年間発行額は1兆㌦と過去最大額に達する可能性も出ている。

 

 英Environmental Financeがまとめた。対象とするサステナブルボンドは、グリーン、ソーシャル、サステナビリティ、サステナビリティ・リンクの各ボンド。世銀は2008年に最初のグリーンボンドを発行した際の主幹事もSEBが担当した。グリーンボンドの第一号は2007年に欧州投資銀行(EIB)が発行したClimate Awareness Bonds(CABs)とされる。翌年には世界銀行が初めて「グリーンボンド」の名称で発行した。

 

 発行が顕著になり始めたのは、2018年くらいからで、同年の発行額は約2000億㌦。2020年には3倍の6000億㌦以上に膨らみ、今年はすでに前年の水準を8月に突破、現在は8000億㌦台になっているという。この間、発行するボンドの種類も、調達資金の使途に応じて、ソーシャル、サステナビリティ、サステナビリティ・リンクボンドと増え、最近ではトランジションボンドも登場し始めている。

 

各サステナブルボンドの毎年の発行シェアの推移
各サステナブルボンドの毎年の発行シェアの推移

 

 市場規模は2兆㌦に乗せたとみられるが、累積の発行額(既償還分を含む)はさらに多く、2兆4000億㌦になる。これらのサステナブルボンドのうち、最も発行額が多いのがグリーンボンド。全体の5分の3を占める。ただ、最近の2020年、21年についてみると、グリーンボンドのシェアは全体のほぼ半分に下がっている。代わりに、ソーシャル、サステナビリティ、サステナビリティ・リンクボンドの上昇が目立つという。

 

 ソーシャル、サステナビリティボンドの増加は、新型コロナウイルス感染がグローバルに広がったため、医療機関向けの支援や、コロナ禍で経営危機に直面する中小企業や雇用対策資金等の調達に活用されるケースが増えたためといえる。グリーンボンドに対する需要も気候変動対策で、2050年ネットゼロ宣言をする国が増え、気候緩和・適応の両事業のさらなる増大が見込まれることから、さらに増えるとみられる。

 

 気候変動対策、生物多様性対応、そして社会的課題への対応の必要性が、民間企業を中心に増えていることから、引き続きサステナブルボンドの発行ペースは上向き基調が続くとみられる。またグリーンローンやサステナビリティ・リンクローンの発行も同様に増加基調を辿っている。