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米大手資産運用機関のBlackstone、グローバルESGチームのトップに、SASB創設者のジーン・ロジャース氏を登用。ESG分析力を強化(RIEF)

2021-11-15 11:24:24

Rogers001キャプチャ

 

  米大手資産運用機関のBlackstoneは同社のグローバルESGチームのトップに、米SASBの創設者のジーン・ロジャース(Jean Rogers)氏を登用すると発表した。 ロジャース氏は2012年に自宅を拠点として、SASBを設立、セクターごとのESGの開示基準を自主的に開発した。その後、18年春に退任、資産運用会社や長期投資証券市場等で活躍してきた。


 ロジャース氏は、年明けの1月からブラックストーンのポストに就く。現在、同社のESGチームの責任者のChristine Anderson氏は引き続き、米国以外の海外市場でのESG責任者として引き続きチームにとどまる。

 

 同氏が設立したSASBは、今年6月に、国際統合情報報告評議会(IIRC)と統合してValue Reporting Foundation(VRF)に発展するとともに、そのVRFは、IFRS財団が発足させる国際サステナビリティ報告審議会(ISSB)の始動に合わせて、IFRSに統合されるという急速な展開を辿っている。そうしたSASBの発展の基礎を作ったのがロジャース氏になる。https://rief-jp.org/ct4/78893

 

 SASBはロジャース氏が、金融人、会計士、学者、産業人らに呼び掛けて立ち上がった。最終的に11産業、79業種のESG情報開示基準を作成した。同案はその後、細部の調整を経て、ISSBのサステナビリティ情報開示のプロトタイプ版のセクター別開示基準の土台となっている。

 

 同氏は2015年8月の時点で、RIEFのインタビューに応じている。その中で、同氏は今年実現したIIRCとSASBの統合を展望するように「IIRCとSASBの作業スコープは、別々だが補完的でもある」として、両者の親和性に言及していた。RIEFの藤井良広代表理事は、SASBのワーキンググループに専門家メンバーとして参加し、金融分野等のフレームワークづくりに協力した。https://rief-jp.org/interview/54422?ctid=34

 

 ロジャース氏はSASBを立ち上げる前は、グローバルエンジニアリングコンサルのArupとコンサルのDeloitteでサステテナブル開発分野のコンサルティング業務を10年以上経験していた。 非営利のスタートアップ団体としての成果を仕上げたSASBについては、Bloombergに委ねる形で自らは再びESG市場に入っていた。

 

 ブラックストーンは総運用資産額7310億㌦(約83兆円)という巨大投資機関で、プライベートエクイティ、不動産、債券、株等のほか、生命科学分野、成長株投資、投資不適格レベルへの投資、不動産の流通市場等、幅広い投資分野に展開している。いずれの市場でもESG要因の評価の重要性が増している。

 

 同社は今回のロジャース氏の登用に加え、新たに12人のESG専門家をチームに加えている。

https://www.blackstone.com/our-impact/our-approach-to-esg/