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米銀シティ。役員・従業員のDEI(多様性・公平性・包摂性)目標を撤廃。トランプ政権の大統領令に追随。連邦事業契約の継続を優先。米銀ではゴールドマンサックスに次ぐ(RIEF)

2025-02-23 00:21:12

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写真は、シティのHPより引用)

 

 米シティグループ(Citigroup)が、同社の役員・従業員を対象としたDEI(多様性、公平性、包摂性)目標を撤廃したことがわかった。トランプ政権がDEI尊重の従来政策を廃止する大統領令を発したことに追随する形だ。主要な米企業でもDEI政策の廃止を宣言するところが続いている。シティのDEI目標撤廃は、大手米銀の中ではゴールドマンサックスに次ぐ形で、今後、他の米銀にも広がりそうだ。米企業もDEIを含めたESG関連の政策対応については、政権の方針に逆らわない追随や事なかれ的に対応するところが少なくないことを示す証左の一つといえる。

 

 シティは2018年にDEI政策を導入した。役員クラスの指名から、一般の従業員の採用に至るまで同政策を重視し、目標を立ててきた。役職クラスでは、アシスタント・バイス・プレジデントからマネージングディレクターまでの中堅管理職クラスの従業員について、グローバルで40%を女性、8%を黒人とする目標を掲げた。22年にはこれを発展させて、女性比率は25年までに43.5%、北米での黒人比率は11.5%に引き上げるとしてきた。

 

 しかし、米メディアの報道によると、同行CEOのジェーン・フレーザー(Jane Fraser)氏は直近の従業員向けのメモで「現地の法律で義務付けられている場合を除き、今後は『意欲的な多様性目標』を掲げない」と記した。また求職者および面接官の多様性を求める方針も廃止するとした。さらに、人事部門に設けられている「多様性、公平性、受容、人材管理」チームの名称を、「人材管理およびエンゲージメント」に変更するとした。

 

 同氏はこれらの変更の理由について、「連邦政府の政策における最近の変更によって、すべての連邦請負業者に適用される新たな要件を含め、さまざまな背景を持つ同僚を惹きつけ、支援するためにこれまで採用してきたグローバル戦略やプログラムの一部を変更する必要がある」と述べている。トランプ政権がDEIに関連する連邦事業を廃止し、同事業に携わる全職員を解雇する方針を打ち出したことを踏まえた決断だとした。

 

 シティは、そのグローバルな金融ネットワークを、米国政府の決済ネットワークとしても国内外で請け負っている。連邦政府の主要な請負業者である。このため、これまでもトランプ政権の監視の目にさらされやすい立場にある、と指摘されてきた。今回も、同政権のDEI関連政策の影響が、シティの請負事業にも及ぶことを未然に防ぐ狙いとみられる。

 

 sティ自体の人員採用面でも、これまではDEIの条件を前提として、採用のプロセスで多様な人材の候補者リストを作ったり、様々なバックグラウンドを持つ面接官を確保するなどの工夫をとってきた。だが、そうした「DEI対応」も廃止する。さらに、CEOのメモでは「特定の事業や取引先の取り組みについてはさらなる評価が必要」としており、今後、数週間以内に追加的な対応を公表する可能性があることを示している。

 

 シティは昨年の株主総会資料では、「取締役会は、取締役会およびシティの経営陣がシティの従業員、顧客、その他の利害関係者の多様性を反映した経歴を持つ個人で構成されるよう努めている。 また、給与の公平性に関する措置、意欲的な代表目標の設定、採用における多様な候補者リストや採用委員会の活用など、グローバルな多様性を持つ労働力を支援するための取り組みを続けている。シティのDEIへの取り組みは、世界中のあらゆる階層、背景、出身の顧客を代表する従業員を反映し続けている」と指摘。DEIを組織運営の軸に据えていると強調していた。

 

 フレーザー氏は自らのDEI政策の変更について、「米国のあらゆる機関における多様性推進活動に関する進展」を踏まえた対応としたうえで、シティでは引き続き「あらゆる経歴を持つ同僚が価値を認められ、生き生きと働くことができる」との方針を維持することも付け加えた。

 

 シティに先行する格好で、ゴールドマンサックス(GS)は、今月初めに、新規株式公開の引受業務に際して、取締役会が全員男性や白人だけとなっている企業への助言を禁じるとする、多様性を反映した社内規則を撤廃したことを明らかにした。GSの規則撤廃は、昨年12月にナスダックが上場企業に対し、女性やマイノリティの取締役の任命等を義務付けた規定をめぐる訴訟で、「証券取引所は企業の多様性を高めることを目的とした規則を課すことはできない」として敗訴したことを受けた措置だが、トランプ政権のDEI排除政策への対応も踏まえたとされている。https://rief-jp.org/ct6/153809?ctid=

 

 GSは昨年12月に、国連主導の「ネットゼロ銀行同盟(NZBA)」からの大手米銀の集団離脱に際して、最初に離脱を宣言しており、それに続いてシティ等が追随した経緯がある。このため市場関係者は、今回のDEI政策廃止の宣言も、GSが口火を切り、シティの追随に続いて、他の大手米銀にも広がる可能性があるとの見方が出ている。

 

 米銀最大手のJPモルガン・チェースは14日に公表した証券取引委員会(SEC)提出の財務報告書において、「活動家や政治家、その他の一般の人々から、(DEIの取り組みなどの)公共政策の問題に関して批判されることが予想される」と記載している。

 

 大手銀行だけでなく、連邦政府との契約が多いコンサルティング企業においても、アクセンチュア、デロイト、ブーズ・アレン・ハミルトンなどは、大統領令を理由として、連邦政府の請負業者としての自らのダイバーシティ目標をすでに放棄している。

 

 トランプ大統領のDEI排除政策の対象になっている連邦職員などは各地で訴訟を起こしている。このうち、メリーランド州ボルチモアにある同州地方裁判所では、DEI関連の大統領令を違法かつ差別的だとして差し止めを求めた訴訟に対して、裁判所が大統領令に伴う行政命令の一部の差し止めを暫定的に認める判決を出している。同訴訟では、原告側から、連邦機関はすでに大統領令に沿って連邦助成金や契約の凍結・取り消しを始めており、職員の雇用は「差し迫った危険」にさらされ、個人や機関は連邦命令に違反しないようにと発言の検閲も余儀なくされているとの非難声が示された。

 https://www.bloomberg.com/news/articles/2025-02-20/citi-scraps-diversity-goals-dei-term-under-trump-pressure