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日欧米アジアの環境NGOが今週末のG7首脳会議に向けて、「脱炭素」「脱石炭」で孤立する日本政府に政策転換を求める新聞広告を英ファイナンシャル・タイムズ紙に掲載(RIEF)

2021-06-07 21:09:35

FT001キャプチャ

 

 日本だけでなく、欧米、アジア等の35の環境NGOが7日、日本政府をターゲットとして、英フィナンシャルタイムズ紙(アジア版)に「日本、石炭火力から脱却する時だ(japan, Time to end Coal)」と題した全面広告を掲載した。今週後半に開く主要7カ国首脳会議(G7)に向け、「日本だけが脱石炭を阻み、G7で孤立している」と指摘、世界のNGOが日本政府に明確な政策転換を求めてアピールした。

 

 日本に「脱石炭」「脱炭素」を促す新聞広告は、これら35の環境グループが組織する連合体「No Coal Japan」と、日本、オーストラリア、ヨーロッパ、韓国、米国のそれぞれで2030年の脱石炭を目指すキャンペーン「Beyond Coal」が協力して実施した。

 

 広告は、月と桜と太陽光発電を図案化する一方で、黒々とした石炭火力発電所が半分を覆うという図案。菅首相宛てのメッセージとして、「今週末にG7サミットにおいて、あなたの選択肢は、汚れた石炭を支持し続けるか、それとも再生エネルギーに投資することで我々の未来を守るかだ。日本は、国内で新規の石炭火力発電所を建設し、海外での建設も支援しているG7では唯一の国だ」と記している。

 

   6月11 – 13日、英国コーンウォールで開催されるG7サミットでは「気候変動への取り組みと地球の生物多様性の保全」を含む優先課題が議論される予定。環境NGOの気候ネットワーク(KIKO)は、「G7の事前協議で日本は、国外への石炭支援を終わらせようとする各国の合意を度々妨害し、2030年までに国内の石炭を全廃することに同意することを拒んできた。抜け穴のある石炭政策を維持しようとする日本の主張は、最終的なG7合意を台無しにしかねない危険性を有している」と指摘している。

 

 各国の環境NGOは、こうした日本に態度に危機感を抱いており、今回の各国協調による日本政府へのメッセージ発信となった。日本は国内で依然、新規の石炭火力発電建設事業を推進しているほか、インドネシアのインドラマユ石炭火力発電事業(インドラマユ)、バングラデシュのマタバリ石炭火力発電事業フェーズ2(マタバリ2)で、日本のメガバンクとともに事業推進を続けている。

 

 国際エネルギー機関(IEA)の最新報告書によると、2021年時点で既にコミットされている事業以外に、新たな石油・ガス開発を承認する余地はなく、新たな炭鉱開発や炭鉱拡張も必要ないと指摘。電力部門に関しては、発電部門からのCO2排出量を先進国では2030年代に、新興市場および発展途上国では2040年頃に正味ゼロにするべきであると提案している。

 

 欧州のNGO、Beyond Coalのキャンペーンディレクターのカトリン・グッドマン(Kathrin Gutmann)氏は「欧米をはじめ先進国では2030年までに石炭火力発電のフェーズアウトの完全実現に向けて動いている。日本も2030年のフェーズアウトを約束すれば、国際コミュニティでの多くの気候変動問題を解決し、日本自体の多くの時間とお金を無駄にせずにすむ」「G7サミットでは、菅首相が他のG7諸国と肩を並べ、OECDにおける石炭の終焉を加速させるための機会とするべき」と指摘している。

https://www.nocoaljapan.org/ja/ngos-call-on-japan-to-end-overseas-public-finance-for-fossil-fuels-including-indramayu-and-matarbari-2-coal-plants-at-g7-summit/

https://www.kikonet.org/press-release/2021-06-07/G7-FT-ad

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