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日本政府のインドネシア、バングラデシュの石炭火力事業支援は「G7首脳会議の合意違反」。内外の250の環境NGO、市民団体らが政府に抗議書(RIEF)

2021-07-20 13:56:31

FOE001キャプチャ

 

 日本政府はG7首脳宣言を受けて新規の石炭火力発電事業への政府の輸出支援方針を2021年末までに終了する方針を公表したが、内外の250の環境NGO、市民団体らは、「日本政府はインドネシアとバングラデシュの事業を例外扱いし、G7の公約を骨抜きにしている」と批判する抗議声明を公表した。

 

 環境NGOらが問題とするのは、インドラマユ石炭火力発電事業(インドネシア)と、マタバリ石炭火力発電事業フェーズ2(バングラデシュ)の両計画。日本政府はG7合意を受けて、石炭火力発電の輸出支援方針を6月17日に改訂し、「排出削減対策が講じられていない石炭火力発電への政府による新規の国際的な直接支援を2021年末までに終了する」と表明した。

 しかし、この2件の計画について、日本政府は未着工にもかかわらず新方針の適用外とし、国際協力機構(JICA)を通じた新規円借款を行う予定としている。こうした政府の対応に対して、NGOたちは「日本がG7首脳宣言を骨抜きにし、世界的な脱炭素の取組みを弱体化させている」と抗議するとともに、両事業計画への支援をしない決断を政府が直ちにとるよう求める声明をまとめ、内閣府と外務省に提出した。

 

 NGOらによると、要求に対して外務省は「2案件はすでに実施に向けた手続を行っており、新規案件でないためG7首脳宣言の適用対象ではない」と回答したという。 しかし、NGOらは、外務省がこれまでも「実施に向けた手続を行っている」案件についても「新規案件」と解釈 し、そうした新規案件の停止を判断した事例もあると指摘している。

 

 その事例として、汚職問題でベトナムやインドネシア向け政府開発援助(ODA)を一時停止した際、新規案件の採択を停止したケースをあげている。 現在、エンジニアリング・サービス借款の貸付を実行中のインドラマユ、協力準備調査実施中のマタバリ2を「実施に向けた手続を行っている」として「新規案件」でないとして新方針の適用対象外にすることは一貫性を欠く、と指摘している。

 

 2案件とも本体の建設工事の着工に至っておらず、本体借款の採択もなされていない。したがって、G7合意を守って、これらの支援を直ちに停止し、石炭火力発電への直接支援を2021年末までに終了することは十分に実現可能、としている。

 

呼びかけ団体:
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
気候ネットワーク
国際環境NGO FoE Japan
国際環境NGO 350.org Japan
メコン・ウォッチ

 

https://www.foejapan.org/aid/jbic02/indramayu/pdf/20210716_j.pdf