HOME7.金融NPO |ミャンマー軍事政権を訪問した日本の民間代表団に、政府の内閣官房審議官が同行。軍事政権と技術実習生派遣等で交渉か。人権NGOらから「なし崩し的な経済交流再開を目指す動き」と批判(RIEF) |

ミャンマー軍事政権を訪問した日本の民間代表団に、政府の内閣官房審議官が同行。軍事政権と技術実習生派遣等で交渉か。人権NGOらから「なし崩し的な経済交流再開を目指す動き」と批判(RIEF)

2022-07-05 17:04:00

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 軍事政権による弾圧が続くミャンマーをこのほど、日本の民間団体の代表団が訪問し、国軍政権の商業大臣等と、日本とミャンマーの貿易と投資の強化に向けた協力をめぐって話し合ったことが明らかになった。同代表団には日本政府の内閣官房内閣審議官も同席したと報じられており、現地では軍事政権の弾圧が継続する中で、日本政府が同政権との間で経済交流の再開を目指していると受け止められている。

 

 (写真は、今月1日に国会前で行った日本政府に対するNGOらの抗議行動)

 

 環境NGOのFoEJapanがミャンマー現地からの報道として紹介した。それによると、昨年2月の軍事クーデター以降、これまでに少なくとも2011名の市民が治安部隊によって殺害され、1万1201名が不当に拘束されている(2022年6月23日時点)。クーデター以降の国内避難民は69万人に上っており、国連による緊急な人道援助も続いている。

 

 こうした状況下で、今年5月上旬に、日本ミャンマー協会会長の渡邉秀央氏率いる日本の代表団が訪問、軍事政権による国家統治評議会(SAC)が任命した商業大臣等との間で「両国」の貿易と投資の強化に向けた協力について話し合ったとされる。さらに現地の報道では、同代表団には内閣官房内閣審議官インド・太平洋経済開発担当の肩書を持つ安藤晴彦氏が同行したとされる。

 

安藤晴彦氏
安藤晴彦氏

 

 ミャンマー協会会長の渡邉氏は、自民党の宮澤政権で郵政大臣を務めたことのある国会議員。2011年に同協会を設立、当時のテイン・セイン大統領と連携する形で、ヤンゴン近郊のティラワ経済特区開発を推進してきた。代表団に同行したとされる安藤氏は経済産業省出身で現在、独立行政法人経済産業研究所のフェローの肩書も持つ。

 

 FoE Japanによると、渡邉氏の代表団と軍事政権の代表との会談の模様は、国軍のプロパガンダ紙とされる「The Global New Lights of Myanmar」に報じられた。安藤氏は、SACが任命した労働大臣と代表団の会談に参加し、技能実習生派遣等について協議したとしている。

 

 NGOらは、「国軍のプロパガンダ紙では、渡辺氏らの一行が『代表団(delegation)』と表記され、軍事政権の高官との会合の一部に日本政府高官も同席していたと報じられたことは、渡邊氏の一行が日本政府の送った公式な代表団であり、ミャンマー国軍の支配の正当性を日本政府が認めているという印象を広く国際社会に与える。日本政府として現在のミャンマーへの経済協力を推進する姿勢であると理解されてもおかしくない」と指摘。

 

 国際的にミャンマー軍事政権の非合法性と、人権弾圧問題が続いている中での日本政府の対応としては、「到底受け入れられるものではない。日本政府の高官が非合法軍政の高官との会合に同席したことに強く抗議するとともに、今後、日本政府がなし崩し的に対ミャンマー経済協力を継続することがないよう、強く要請する」との抗議文を岸田首相あてに提出した。

 

https://foejapan.org/issue/20220704/8580/

https://foejapan.org/issue/20220704/8576/