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化石燃料事業向け保険引き受け・投融資停止について、東京海上ホールディングスの株主機関投資家が同社への「エンゲージメント」を表明。環境NGOらの要請で判明(RIEF)

2022-09-26 17:13:27

Tokio0022キャプチャ

 

  東京海上ホールディングスに対して、同社の株主である金融機関2社が、化石燃料事業向けの保険引き受け及び投融資を停止するエンゲージメントを実施あるいは実施表明をしたことがわかった。国内外の環境NGO6団体が、同社の株主に名を連ねる金融機関50社に対して、同社の経営方針をパリ協定の長期目標と整合化させるため、化石燃料事業の保険引受および投融資を停止するエンゲージメントを求める要請をしたところ、現在までに10社から回答があり、その中で、2社が同エンゲージメントの実施について、前向きな回答をしたとしている。

 

 東京海上に対する機関投資家によるエンゲージメント活動を求める要請を行ったのは、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、気候ネットワーク、FoE Japan、350.org Japan、メコン・ウォッチ、Insure Our Futureの6団体。

 

 各団体は、東京海上グループの傘下保険会社がブラジルのオフショア石油採掘事業に主要な引受者として保険を提供しているほか、米国アラスカ州で先住民族のコミュニティーにとって重要性の北極野生生物保護区での石油・ガス採掘事業への保険の引き受け手になる可能性があるとして、同社に対し化石燃料事業の保険引受・投融資停止を求める要請を行ってきた。

 

 世界の主要な保険会社であるアリアンツやスイス再保険等を含む保険・再保険会社10社は、すでに石油・ガス事業への包括的な制限を設けている。国内でもSOMPOホールディングスが5月末にオイルサンド開発・北極野生生物国家保護区でのエネルギー採掘事業への新規保険引受停止を日本の金融機関として初めて発表した。6月末には、2025年1月までに温室効果ガス(GHG)削減計画の策定がない「石炭事業を主業にする企業」等の保険引受・投融資の停止方針を出している。https://rief-jp.org/ct2/126207

 

 NGO各団体は、このように主要な保険業界において、化石燃料向け保険引き受けと投融資停止の方針が広がる中で、東京海上の場合、積極的な対応がみられないとして、7月に同社の主要株主である内外金融機関50社に対して、同社へのエンゲージメントの実施を要請する共同書簡を送付した。

 

 現在までに、その書簡への回答が10社からあり、その中で、書簡の趣旨に沿って同社に対してエンゲージメントを行った、あるいは今後エンゲージメントを行う、との回答が2社から寄せられたとしている。

 

 NGOらは回答を寄せた金融機関の名前は公表していない。だが、「機関投資家として、同社がネットゼロ達成のための長期目標を掲げ、目標達成のための道筋を構築するよう、今後も引き続きエンゲージメントを行う」との趣旨の回答が寄せられたとしている。他の金融機関のうち6社からは、個別の投資先とのエンゲージメントの状況には回答できないとの趣旨の返信が寄せられた。

 

 この点でNGOらは、「融資先とは異なり、投資先とのエンゲージメントに守秘義務は生じないはず。各金融機関は投資先の議決権行使結果やその理由をすでに公表しており、このような回答は一貫性を欠く」と指摘、株主としての機関投資家の説明責任の明確化を求めている。

 

https://www.kikonet.org/info/press-release/2022-09-20/TokioMarine_statement

http://jacses.org/1879/