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COP27で開いた三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のサイドイベントで、アフリカの活動家たちが「東アフリカ原油パイプライン(EACOP)」事業に参加しないよう要請行動(RIEF)

2022-11-13 23:50:40

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  エジプトのシャルムエルシェイク(Sharm el-Sheikh)で開催中の国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)で、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が開いたサイドイベント会場で、アフリカのウガンダやタンザニア等の環境活動家たちが「東アフリカ原油パイプライン(EACOP)」事業にMUFGが参加しないよう求める要請行動を行った。同事業には日本の三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)が参画しており、活動家たちはMUFGがSMBCに追随しないよう求めた。

 

 (写真は、アフリカの活動家と『対峙』するMUFGアドバイザーの河野正道・元金融庁金融国際審議官㊨)

 

 MUFGは今回、COP27のジャパン・パビリオンで同グループとして初となる自前のセミナーを開催した。そのセミナー開催の9日、活動家らが詰めかけた。

 

 セミナーは「責任あるトランジション支援と信頼できるカーボンニュートラルへの道すじ」と題して、MUFGグローバルアドバイザリーボードでシニアアドバイザーを務める河野正道氏(元金融庁金融国際審議官、前OECD事務次長)や、MUFG常務執行役員の大嶋幸一郎氏等が講演。さらにブラックロック、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)、英HSBC銀行等の担当者によるパネルディスカッションも開いた。

 

MUFGのサイドイベントに詰めかけたアフリカの活動家たち。発言を求めて挙手をしている(350.org Japanのサイトから)
MUFGのサイドイベントに詰めかけたアフリカの活動家たち。発言を求めて挙手をしている(350.org Japanのサイトから)

 

 サイドイベントで活動家たちが問題視したEACOP事業は、東アフリカのウガンダとタンザニアを結ぶ全長1410kmに及ぶ石油パイプライン建設計画だ。事業は仏エネルギー大手のTotalが中心となり、エネルギー確保を目指す中国の中国海洋石油集団有限公司(CNOOC)、タンザニアの石油開発公社等が共同で開発を進めている。https://rief-jp.org/ct7/129890?ctid=67

 

 しかし、同パイプライン・ルートは両国の多くの人々が飲料水として頼るビクトリア湖に沿って建設するため、水質汚染の懸念が強いほか、完成すれば年間3400万㌧以上のCO2排出が想定されている。さらにパイプライン敷設に伴う住民の強制疎開、自然破壊の可能性もある。

 

 日本のメガバンクのうち、SMBCはTotalの財務アドバイザーを務め、総額30億㌦におよぶプロジェクトファイナンスの共同主幹事行も務めている。一方で、メガバンクのうち、みずほ銀行は「環境・社会課題が円満に解決しない限り、EACOPへの支援はしない」として、同事業から距離を置いている。活動家らは、残るメガバンクのMUFGに対して、SMBCに同調しないよう要請した。

 

 内外の環境NGOらは、これまでも3メガバンク等に対して、EACOP事業へ参加しないよう要請活動を行ってきたが、MUFGからは回答を得られていないという。このため、MUFGのサイドイベントに詰めかけたアフリカのアクティビストたちは、「EACOPを支援しないと表明してほしい」、「EACOPを進めるトタルへの支援を続けることはアフリカでの気候危機を後押しすることになる。それはMUFGの方針とも矛盾するのではないか」等と求めた。

 

 セミナーのタイトルとした「責任あるトランジション支援と信頼できるカーボンニュートラルへの道すじ」に、EACOP事業は反するとの指摘だ。これに対して、NGO側によると、セミナーに参加したMUFGアドバイザー、河野正道氏が「個別の案件についてはコメントできない」旨の回答をしたという。

 

 アフリカのNGO「StopEACOPコアリション」のオマール・エルマウィ氏は「EACOPが地域コミュニティや人々の生活、環境や気候に与える負の影響は否定できないものだ。気候危機の影響が深刻化する中、本来であればもっと早くにEACOPのような化石燃料事業へのファイナンスは取りやめるべきだった。われわれはEACOPへの関与するかどうかをまだ表明していない金融機関に対し、関与をやめることを強く求める。EACOPに関与すれば、気候危機とその破滅的な影響を引き起こした共犯者として非難されることになるだろう」と指摘している。

 

https://world.350.org/ja/press-release/20221109/

https://www.mufg.jp/dam/csr/pickup/202211_01/sideevent_ja.pdf