環境NGOのWWF、企業や金融機関が自社およびサプライチェーン等での生物多様性リスクを評価・対応するための「生物多様性リスクフィルター(BRF)」を開発、無料公開(RIEF)
2023-01-17 12:59:20

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- WWFは開発したBRF(Biodiversity Risk Filter)をスイスのダボスで始まった世界経済フォーラム(ダボス会議)の場で発表し、WEFに参加する各国企業経営者等にアピールした。BRFは、生物の種(野生生物)、生態系、保護地域、森林破壊、生息地の破壊、汚染、農業のためによる土地利用の改変等、生物多様性の損失に関連する50以上のデータ群を網羅し、生物多様性に関する世界的かつ総合的なリスク情報を提供する。
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企業活動と生物多様性の「依存」「インパクト」の関係 - それらのデータは、WWF独自の情報に加え、国際自然保護連合(IUCN)、米航空宇宙局(NASA)、国連食糧農業機関(FAO)、世界銀行、国連環境計画・世界自然保全モニタリングセンター(UNEP-WCMC)、そのUNEP-WCMC等のデータを統合した形で提供される。集積したデータの利用法については、WWFとクライメート&カンパニーが独自に開発した方法論ガイダンスを提供する。
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ガイダンスでは、特に金融機関が投融資判断に際してBRFを活用するよう推奨している。投融資判断に際して、投融資先の事業所やサプライチェーン等が生物多様性に及ぼす影響を把握することで、金融機関は投融資に際して生物多様性リスクを軽減できるほか、生物多様性保全にポジティブな投融資の選好にも活用できる。
- WWFでは「BRFは、民間セクターによる、持続可能なビジネスと投資の拡大を支援し、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)、科学的根拠に基づく目標ネットワーク(SBTN)、国連の持続可能な開発目標(SDGs)を含む、グローバルな枠組みに対する企業や金融機関のコミットメントとエンゲージメントをサポートする」と位置付けている。
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- 生物多様性のCOP15では、2030年までに各国は自らの国土と海洋の少なくとも30%を自然保全の対象とする「30-by-30」目標や、生物の遺伝子情報利用による利益を先進国と途上国で公平に配分することなどを盛り込んだ23の目標を掲げる「昆明・モントリオール生物多様性枠組み」で合意している。同合意は、2010年に日本の名古屋で開いたCOP10で採択した2010~20年の「愛知目標」の後継フレームワークとなる。https://rief-jp.org/ct12/131095
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- COP15では、世界中から参加した120以上の資産運用機関や大手金融機関等が、自然環境・生物多様性等に影響を及ぼしている企業に対して、影響削減のエンゲージメント活動を共同で行う投資家イニシアティブ「The Nature Action 100(NA100)」の設立を宣言。今後、自然環境、生物多様性に影響を及ぼす事業を展開する世界100の企業に対し、共同でインパクト低減を進めるエンゲージメント活動を展開する。BRFはそうした活動にも活用されることが期待される。https://rief-jp.org/ct12/130870?ctid=65
https://www.wwf.or.jp/activities/lib/5231.html