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三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)。「東アフリカ原油パイプライン(EACOP)」事業から撤退を環境NGOに表明。同計画からの日本勢の離脱のSMBCに続く(RIEF)

2023-06-03 00:22:56

MUFG001キャプチャ

 

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は2日、仏エネルギー大手のトタルエナジーズ社が主導して、アフリカで計画している大規模な原油パイプライン事業「東アフリカ原油パイプライン(EACOP)」について、「同事業のファイナンスに関与していない」とのスタンスを環境NGOに表明した。EACOPには、すでに三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)が撤退を表明しており、これで同事業に関与してきた日本の大手銀行はいずれも手を引くことになった。

 

 MUFGは、環境NGOの350.orgの問い合わせに対して、回答した。それによると、「MUFGの基本的なポジションとして、案件に関与していない、もしくは案件への融資検討を取りやめた場合であっても、個別案件へのコメントは差し控えている。しかしながら、EACOP案件に対する関心が異例の高さとなっていることに鑑み、例外的な対応として、本件へのファイナンスに関与していないことをお知らせする」としている。

 

 EACOP計画は、フランスのエネルギー大手のTotal Energyが主導し、ウガンダのティレンガ油田等から採掘する原油を、タンザニアのタ ンガ港から輸出するために、総延長1443kmのパイプラインを建設する計画。総事業費は50億㌦(約6700億円)。パイプラインはビクトリア湖沿いを通り、数百万人の生活を支える水資源汚染が懸念されるほか、自然保護区への影響も指摘されている。https://rief-jp.org/ct7/132888

 同計画には、SMBCがTotalの財務アドバ イザーと、投融資の大半を占めるプロジェクト・ファイナンスの共同幹事行を務め、MUFGも協調融資に加わる見通しだった。しかし、現地住民や内外の環境NGO等の反対を受け、5月半ばに、SMBCはグループのCSuO(チーフ・サステナビリティ・オフィサー)が「EACOPについて(SMBCは)現在は関与していない」と発言し、撤退方針を明らかにした。それを受け、MUFGの対応に注目が集まっていた。https://rief-jp.org/ct1/135563?ctid=67

 

 MUFGは環境・社会ポリシーフレームワークにおいて、環境・社会に対するリスクまたは影響の性質や重大性を踏まえた「ファイナンスに際して特に留意する事業」として、パイプライン事業をあげている。その中で、「新規のパイプライン敷設に対するファイナンスの実行を検討する際には、開発地域における生態系や先住民族の地域社会への影響等、顧客の環境・社会配慮の実施状況を確認する」としている。今回の対応は、この規定に基づいた判断とみられる。

 

 3メガバンクのもう一つの、みずほフィナンシャルグループは、SMBC、MUFGの判断に先駆けて、「現在進行中の環境・社会的課題が解決されない限り、EACOPに融資する可能性はない」とのスタンスを打ち出している。https://www.banktrack.org/download/eacop/oci_ciel_eacop_2022_jpn_vf.pdf

 

 350.orgのチームリーダー代行の伊与田昌慶氏は「MUFGによる今回の表明は、アフリカと日本、世界中の市民にとって良いニュース。アフリカの人々と自然を脅かし、年間最大で約3400万㌧ものCO2排出をもたらしうるEACOPについて、日本の3メガバンクのすべてが距離を置いていることが明らかになった」と評価している。

 

 ただ、アフリカで日本の官民が関与する化石燃料事業計画はEACOPだけではない。同氏によると、「今年5月のG7サミットに先立ち、岸田文雄首相が支援すると表明したモザンビークの化石ガス事業もある。アフリカの市民は、化石燃料ではなく再エネを支援してほしいと訴えている。日本の官民は、化石燃料という過去のエネルギーではなく、再エネという未来のエネルギーをこそ支援すべきだ」と指摘している。

 

【プレスリリース】三菱UFJフィナンシャル・グループ、「東アフリカ原油パイプライン(EACOP)への支援なし」と初めて表明: 市民の気候ムーブメントの成果 | 国際環境NGO 350 Japan

方針/ガイドライン|三菱UFJフィナンシャル・グループ (mufg.jp)