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三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)の国連「ネットゼロ銀行同盟(NZBA)」からの離脱に、環境NGO4団体が「憂慮」を表明。他の大手銀行には「追随しないよう」要請(RIEF)

2025-03-07 01:32:01

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 三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)が日本の銀行として初めて国連の「ネットゼロ銀行同盟(NZBA)」から離脱したことを受け、日本の環境NGO5団体が、同社の行動に対して「憂慮」を表明するとともに、他の国内大手金融機関に向けては、「追随しないよう」と要請した。

 

 SMFGの行動に「憂慮」を示したのは、環境NGOの350.org Japanのほか、気候ネットワーク、レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)の4団体。https://rief-jp.org/ct1/154590

 

 それによると、「気候の危機が深刻化する中、同社が金融機関の国際的な脱炭素の協力枠組みから脱退したことについて、懸念を表明する。他の国内の大手金融機関に対して、国際枠組みから脱退することなく、脱炭素への対応を強化し続けるよう求める」としている。https://rief-jp.org/ct1/154554

 

 NZBAでは、遅くとも2050年までに金融機関の投融資ポートフォリオにおける温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを約束し、科学的根拠に基づいて1.5℃未満に気温上昇を抑えるシナリオに整合した2030年目標や部門別目標の設定、排出量や炭素原単位、対策の進捗の公開などが求められる。

 

 SMFGはNZBAから脱退後も気候変動対策を続けるとしているが、NGOらは、「NZBAのように世界中の大手金融機関がポートフォリオにおける脱炭素目標や取り組みの標準を設定し、進捗を比較しやすくする共通の枠組みから外れることは、SMFGのみならず、長期的な経済成長を企図するアセットオーナーやその他の金融機関にとっても後退であり、気候危機の被害に直面する市民にとっての悲劇だ」と指摘した。

 

 さらにSMFG傘下の三井住友銀行(SMBC)は昨年3月に、大規模な開発プロジェクト向け融資における環境社会配慮基準であるエクエーター原則からも離脱していることが発覚している点も指摘し、「このような国際枠組みや指針に相次いで距離を置くSMFGの姿勢は、気候や環境、人権への対応をめぐる懸念をますます深め、評判リスクを高める」と批判している。

 

 NGOのメッセージを取りまとめた、NGO 350.orgジャパンのキャンペーナーの伊与田昌慶氏は「日本の主要な金融機関であるSMFGのNZBA脱退は残念だ。米国における政治状況の変化が背景にあるとされるが、気候危機が深刻化し、脱化石燃料の加速が必要であることは変わらない。(同社が)NZBAを脱退しても取り組みを変わらず続けるというのであれば、あえてNZBAを脱退する必要性はなかったはず。SMFGを含む国内大手金融機関に対し、改めて、NZBAのような国際枠組みに参加し、透明性を高め、他の大手金融機関との比較可能性を担保した上で脱化石を進めるよう求める」と述べている。

https://world.350.org/ja/350media/