第11回(2025年)サステナブルファイナンス大賞の授賞式開催。大賞に初のESG債専用のプロボンド市場を設立した札幌証券取引所。全体で過去最多の17件20社・団体を表彰(RIEF)
2026-01-25 10:52:08
一般社団法人環境金融研究機構(RIEF)主催の第11回(2025年)サステナブルファイナンス大賞の授賞式が23日、東京・内幸町の日本記者クラブ記者会見場で開かれた。国際金融情報センター理事長の玉木林太郎氏の基調講演に続いて、表彰式では、最優秀賞(大賞)に、日本で初めてグリーンボンドやトランジションボンド等のESG債専用の上場制度を導入した札幌証券取引所が選ばれた。同証取は1949年設立の歴史を踏まえながら、民間のスタートアップ企業のように新たな挑戦をしたことを評価された。そのほか、優秀賞やサステナブルボンド賞、サステナビリティ・サポート賞等の6分野で17件〈20機関・団体)を表彰した。
札幌証取のESG債プロボンド市場は、機関投資家等のプロ投資家向けのESG債の上場市場で、内外からのESG投資促進が目的。EUのルクセンブルクのグリーン取引所を参考に、再エネ事業が多い北海道の事業者によるESG債の発行促進、投資家のESG投資を促すことを目指して設立された。
同取引所専務理事の上田悦弘氏は表彰式での説明で「市場の開設により、債券の発行者はESGに関わる取り組みを発信し、幅広い投資家との接点を持つことができる一方で、投資家にとってはESG投資の選択が『見える化』されると、より活発な投資が期待できると考えている」と市場機能の効果をあげた。
大賞に次ぐ優秀賞には、野村證券、フジクラ、みずほ銀行、三井住友信託銀行の4社が選ばれた。野村は、サステナブルな社会の共創・支援に向けた投資スキームの第一号案件として、米国で新たなバイオ燃料から持続可能な航空燃料(SAF)開発のベンチャーに投資した。現在のSAF生産は廃油等を原料としているが、供給力に課題がある。投資対象のベンチャー企業はその課題克服の期待が込められている。
通信ケーブル等の開発・製造大手のフジクラは、光ファイバを高密度に収納し、細径構造を実現する光ケーブル「 SWR」を開発し、データセンターでの電力需要増大によるエネルギー・コスト等の削減に貢献しており、その工場建設事業等の資金調達にグリーンボンドを発行した。みずほ銀行はサプライチェーンや他の企業の温室効果ガスの排出削減を促進する削減貢献量の開示に積極的な企を業支援する「削減貢献量インパクトファイナンス」を展開した。
三井住友信託銀行は「サーキュラーエコノミーとネイチャーポジティブに特化したスタートアップ投資ファンドの立ち上げた。対象としては廃棄物の資源化などの事業で、自治体等と複数の取り組みを展開中だ。
今回目立ったのが、ESG債の発行で、資金使途先をより具体的にするとともに、発行体と投資家が一体となって特定のESG分野への資金の流れを確定する動きだ。第一生命保険と愛知県は、愛知県が発行する水害や地震の防災対策に資金使途を限った地方債(スポット債)を第一生命が全額引き受けたほか、東京海上日動は、三重県、横浜市がそれぞれ発行した浸水レジリエンス債を引き受けるという連携を実現した。
もう一つは、これまでの緩和事業だけでなく、適応事業への資金調達としてESG債を発行する動きだ。第一生命と東京海上日動の両債券の使途は適応事業だし、東京都がCBIの認証付で発行した外貨建てレジリエンスボンドの使途も、気候災害等への適応事業だ。また、同時の資金使途として、名古屋市はネイチャーボンドを、伊藤忠商事は女性の活躍支援のオレンジボンドをそれぞれ発行し、海外の発行体、投資家からも注目を集めた。
今回、初めて設けたサステナビリティ・サポート賞は、自社のサステナビリティ、ESG向上だけでなく、他の企業のESG取り組み等を高度な評価力や、資金支援などで支援する企業の広がりを受けて設定した。ESGコンサルの老舗格のイー・アール・エム日本、ESG投資を拡大している自動車リサイクルセンター、企業の脱炭素化のためのクレジット取得付の金融商品を開発した商工中金の3機関を選んだ。
地域金融賞には、グリーン預金を発展させてスタートアッ企業への出資も盛り込む「グリーン&スタートアップ預金」を開発・展開した京都中央信用金庫を選んだ。国際賞はアフリカのコートジボワール共和国と韓国の新韓銀行の2国・機関。コートジボワールは、アフリカで初めてサムライ・サステナビリティボンドを発行した。同ボンドは国際協力銀行(JBIC)の保証付き。新韓銀行は、サムライ債市場で初の円建てトランジションボンドを発行した。NGO/NPO賞はアジアでの脱炭素化を支援する国際NGOのOil Change Internationalを選んだ。
(藤井良広)

































Research Institute for Environmental Finance