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国際NGO「Enegy Shift South Asia」。中東の緊張増大で、アジアの化石燃料依存から再エネ転換促進へ、送電網近代化・越境電力統合の加速等4項目を各国政府・企業に求める緊急声明(RIEF)

2026-03-13 11:28:02

ESAスクリーンショット 2026-03-13 110639

 

 ASEAN諸国のエネルギー転換を求めるNGOの「Energy Shift South Asia(ESSA)」は、中東でのネルギー転換東南アジアは、米国・イスラエルによるイラン攻撃後の中東における緊張の高まりが、世界石油・ガス市場において新たな不安定化を引き起こしていることに対して深い懸念を表明したうえで、東南アジア諸国の輸入化石燃料依存を改め、再生エネルギーへの転換を促進することを求める4項目の緊急声明を公表した。

 

 ESSAによると、ASEAN諸国での再生可能エネルギー計画は2023年以降70GW拡大し、東南アジア全体の計画済み再生可能エネルギー容量は398GWに達した、としている。これらを含めて同地域での再エネ投資額は528億㌦に達し、市場の再エネ投資への勢いが強いことを示している、としている。

 

 しかし一方で、この間の石油・ガス等の化石燃料関連の同地域内への投資額は714億㌦と依然高く、再エネ投資計画額を上回っている。炭素集約型インフラへの資金流入が続いているわけだ。高水準の化石燃料計画の持続によって、 パリ協定以降、同地域全体では87GWを超える新規石炭・ガス発電設備が稼働を開始している。投資計画の中には、日本の官民が主導するガス火力、日本国内のトランジション関連の石炭・LNG火力からのCO2排出量を処理するCCS計画なども含まれているとみられる。

 

 ESSAは、再エネ発電の進展と、それを上回る化石燃料投資額の継続について、「これらの数値は進展と矛盾の両方を示している」と指摘。ASEAN諸国は再エネ分野で主導的役割を果たす能力を有しながらも、化石燃料の継続的な拡大によって、地域の経済を長期的な燃料輸入依存を続けることで、今回のような激しい世界市場の変動にさらされ続けるリスクリスクを抱え込んでいる、と懸念を示している。

 

 そのうえで、「現在の中東危機はASEAN諸国政府にとって重要な教訓を浮き彫りにしている」として、「エネルギー安全保障は遠く離れた政治的に不安定な供給ルートに依存してはならない」と強調。太陽光、風力、地熱、水力発電の潜在能力に富むこの地域は、長期的なレジリエンスの基盤として国内の再生可能資源を優先すべきである、として、域内の各国政府、金融機関、地域機関等に対する要請を行った。

 

 エネルギー転換の主要な要請は以下の4項目にまとめられている。

1) 新規化石燃料インフラから再エネ・蓄電技術へ公的・民間資金を転換する

2) 再エネ導入を最大化するため、地域送電網の近代化と越境電力統合を加速する

3) エネルギー効率化対策を強化し化石燃料需要を削減する

4)ASEANレベルでの協調戦略を策定し、輸入石油・ガスへの集団的依存を削減する

 

 これらの要請に加えて、「地政学的不安定性は今後も世界石油市場に影響し続ける。そうした市場への東南アジアの対応は断固として戦略的でなければならない」としたうえで、「域内多くの国々は依然として輸入化石燃料に依存しており、自国の経済を地政学的ショック、供給混乱、制御不能な価格高騰に晒している。石油価格の急騰は、ASEAN加盟国全体の輸送システム、発電コスト、食料供給網、インフレ率に瞬時に波及する」とした。この指摘は、日本経済にも、そっくりそのまま当てはまる。

                          (藤井良広)

 

https://energyshiftsea.org/

https://energyshiftsea.org/resource/financing-a-fossil-future-tracing-the-money-pipeline-of-fossil-gas-in-southeast-asia/