HOME |日本の今冬は「過去122年間で最も暖冬だった」と気象庁発表。世界全体の気温上昇の約3倍。インド洋の海水高温と、北極圏振動が要因。地球の「アクビとクシャミ」で人類は翻弄される(RIEF) |

日本の今冬は「過去122年間で最も暖冬だった」と気象庁発表。世界全体の気温上昇の約3倍。インド洋の海水高温と、北極圏振動が要因。地球の「アクビとクシャミ」で人類は翻弄される(RIEF)

2020-04-15 14:01:10

kishouchou2キャプチャ

 

 気象庁によると、今冬の日本の平均気温は全国ベースで平年より1.66℃高く、統計開始後の122年間でもっとも高い記録となった。世界全体の冬の気温上昇より約3倍高かった。特に東日本では2.2℃、西日本は2.0℃といずれも過去最高の気温だった。暖冬の要因は、シベリア高気圧やアリューシャン低気圧がともに冬を通して平年より弱く、冬型の気圧配置の日が少なかったため。気圧の変動はインド洋西部での海水温の上昇等が影響したという。

 

 今冬(2019年12月~2020年2月)は降雪量も全国的にかなり少なかった。北日本日本海側と東日本日 本海側では平年比がそれぞれ44%、7%で、1962年冬の統計開始以降最も雪の少ない冬だった。 3月も全国的に気温が高く、同月の平均気温も過去最も高かった。

 

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 冬型の気圧配置が崩れる日が多かった背景としては、大気上層を流れる偏西風(亜熱帯ジェット気流)が日本付近で北に蛇行し続けたことがあげられる。偏西風の蛇行の一因として、指摘されるのがインド洋西部での海面水温の上昇による「ダイポールモード現象」の発生だ。

 

 同海域では2019年夏から12月にかけて、平年比2.0℃以上の海温差が発生する時もあったという。同現象は通常は0.5℃以上の差で発生が確認される。それが今冬は、その4倍以上も温度差となり「過去最強クラス」と評価されている。このダイポールモード現象によって、インドネシア等の熱帯域での積雲対流活動が不活発となり、亜熱帯ジェット気流が北に蛇行したとみられている。同現象の影響で、オーストラリア(夏冬が日本と逆)は異常高温に見舞われた。https://rief-jp.org/ct8/97304

 

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 また1月以降、北極と北半球中緯度地域の気圧が相反して変動する「正の北極振動」現象が発生し、ユーラシア大陸北部では寒帯前線ジェット気流が明瞭化するとともに、ヨーロッパからシベリア東部にかけての広い範囲で寒気の蓄積が弱まったことの影響で、日本付近への寒気の流入が弱まったことも反映したとみられる。

 

 これらの偏西風の蛇行や北極振動による影響に加えて、地球温暖化によって全球的な気温の上昇傾向が続いているほか、北半球中緯度域全体で対流圏の気温が著しく高かったことも、「冬がいつの間にか終わった」感じの今冬の要因になったとみられる。

 

https://www.jma.go.jp/jma/press/2004/14b/kentoukai20200414.pdf