今年上半期(1~6月)のドイツの発電に占める再生可能エネルギー電力の割合が初めて過半を超える55.8%を記録した。月ごとでみると、2月には再エネ比率は61.8%にまで上昇している。再エネのうち風力発電が30.6%と最も多かった。石炭火力発電は石炭・褐炭両方合計でも19.7%と、2割に届かなかった。ドイツでは石炭火力電力にはCO2排出分の課金をしており、コスト高と消費者の選択で縮小の道を辿っている。
(上図は、各上半期での全発電量に占める再エネ電力の推移)
ドイツのシンクタンク、フラウンホーファー研究機構( Fraunhofer Institute)が公表した。それによると、今年上半期のドイツ全体の電力消費量は234.2TWhで前年同期比4.7%減。新型コロナウイルス感染拡大の影響で減少した。電力供給の再エネ比率は19年上半期は47%だった。一気に55.8%と過半超えとなったのは、電力需要全体の低迷も大きいが、太陽光と風力を合わせた電力量は102.9TWhと前年同期比11.5%増と着実に伸びている。これに対して、石炭火力発電は13.7%減、褐炭火力も6%減と、そろって縮小した。
発電源別でみると、風力発電が全体の3割を占める30.6%ともっとも多かった。次いで褐炭火力発電(13.7%)、ウラニウム(原子力発電)(12.3%)、天然ガス(11.5%)太陽光(11.4%)、バイオマス発電(9.7%)と続く。このうち原発は2022年までに全廃の予定なので、原発の12.3%分を再エネ、ガス等で肩代わりすることになる。原発発電量は前年同期比12.9%減、褐炭火力も同36.6%減、石炭火力同46%減とそれぞれ順調に削減している。
上半期の風力発電は冬季間の強い風で発電量が増え、特に2月は発電全体の45%を風力だけでまかなえた。太陽光発電は4~6月と好天が続いたことから、前年同期比11.2%増と好調だった。水力発電は逆に同9%減など。
褐炭、石炭火力発電のウエイトがそれぞれ下がった要因には、EU-ETS(欧州域内排出権取引制度)でのカーボン価格が上昇したことが大きい。CO2排出量の多い石炭火力等は発電に伴い、CO2排出量に見合うカーボンクレジットの購入が必要となるが、上半期のクレジット(EUA)価格は、トン当たり21.9ユーロと高く、加えて再エネ普及で電力価格がMWh当たり22.94ユーロと下落したことから、発電メリットが低下した。