国連気候変動枠組条約事務局(UNFCCC)、パリ協定の改定NDCs提出は75カ国・地域。世界の排出量の30%。初の分析報告書。米中等の主要排出国が未提出。日本は目標変えず(RIEF)
2021-02-27 14:44:54
国連気候変動枠組み条約事務局(UNFCCC)は26日、国別温暖間対策貢献(NDCs)の初の分析報告書を公表した。それによるとパリ協定の目標を達成するには、各国が原稿の取り組みを倍増させ、NDC目標を強化させる必要があるとした。特に「1.5℃目標」達成のためには、2030年までに世界の温室効果ガス排出量を45%(2010年比)削減しなければならないとしており、日本のNDC目標をほぼ倍増することに相当する。
パリ協定に批准した各国は、国連から、目標達成のために協定時に約束した自国のNDCsを引き上げることを昨年末までに要請されていた。期日までに提出したのは対象約190カ国・地域のうち、日本やEU、英国など75カ国・地域にとどまった。これらの国々の温室効果ガス排出量は全体の約30%に過ぎない。これらの国々のNDCsによる削減量は1%以下としている。
温室効果ガス排出量世界第二位で、トランプ前政権下で、同協定から一旦離脱した米国や、排出量世界最大の中国、同3位のインドはいずれも提出しなかった。日本も求められているNDC目標の引き上げには答えず、従来通りの案を再提出したことで、国際的に厳しい批判を浴びた。
国連はNDCs未改定の国々に対して、11月に予定される国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)までに改定方針を示すよう求めている。このうち米国はバイデン政権に転じて、4月に米国が主催して開催する気候リーダーズサミットに向けて、新たなNDCを公表することが期待されている。
国連事務総長のアントニオ・グテレス氏は「2021年はグローバルな気候緊急事態に対処し、危機をうち破る年だ。科学は明瞭に示している。世界の気温上昇を1.5度に抑えるためには、2030年の排出削減は45%(2010年比)に抑制しなければならない。主要な排出国はもっと野心を持ったNDCsをCOP26開催の前までに提出すべきだ」と指摘した。
主要な排出国には、中国、米国、インドに続いて、ロシア(4位)、日本(5位)が含まれる。菅政権は「2050年ネットゼロ」の長期目標の設定とともに、NDCの再改定も明言している。しかし、現行の26%削減(2013年度比)を、EUの55%(90年比)、英国の68%(同)並みに引き上げるのは容易ではない。一方で、改定NDCの提出を目指すバイデン政権は欧州並みとするとみられており、そうなると、日本は先進国の中で“最低”にランクされる可能性がある。
UNFCCCでは、COP26の前に第二回報告書を公表する予定で、それまでにすべての協定参加国の改定NDCsの提出を求めている。UNFCCC事務局長のパトリシア・エスピノサ氏は「新型コロナウイルス感染拡大の中で、温暖化対策に取り組み、改定NDCsを締め切りまでに提出した国々に感謝する。他の未提出のすべての国々にとって、パリ協定での約束を果たす時期であり、できるだけ早く改定NDCsを提出すべきだ」と強調している。
COP26の議長を務める英国のアロク・シャーマ氏も「今回の報告書は、各国に行動を求める緊急コールだ。すべての国、特に主要な排出国に対して、野心的なNDCsの提出を求めたい」と呼び掛けている。
https://unfccc.int/news/greater-climate-ambition-urged-as-initial-ndc-synthesis-report-is-published