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日本気象(大阪)、洋上風力発電事業向けに、総合的な気象・海象情報を提供。「課題」である上空200m以上の風況データも英国製システムを活用して提供(RIEF)

2021-09-03 13:40:22

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 日本気象(大阪市)は、洋上風力発電所建設事業向けに、気象や海象情報を提供するサービスを開始した。洋上風力発電の計画、工事、運用、撤去とつながる事業過程を通じた情報提供を目指す。洋上風力発電での最大の課題となる海洋上の風況情報については、上空200m以上の風況を把握できるシステムを導入する。

 

 日本気象が提供を始めたのは、Webサービス「MetOcean Navi(メットオーシャンナビ)」。洋上風力発電は、「2050年ネットゼロ」の目標実現に向けて有力な発電手法と期待されているが、洋上での風況把握や、台風、落雷等の気象対策等、これまでの再エネ発電にはない「未解明」な課題を抱えている。

 

 今回の同社の情報提供サービスはこうした課題への対処を講じるうえでの有効な情報提供を目指す。洋上で発電をするうえで最大の課題となる風況の把握では、英国製の「ガリオンライダー」を活用する。同システムは水平照射可能なレーザーを用いて、遠隔地の風の計測が可能なパルス式ドップラーライダーシステム。

 

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 「ライダー」はナセルの上に設置し、風によって運ばれる空中の粒子(エアロゾル)をドップラーライダーから発せられる光の反射によって測定する。4km以内の半球の中のどのポイントも計測可能。発射された光線はプログラム化されたスキャン動作で、測定方向、距離を定めて、風況観測対象地の風況データを取り込める。斜め照射等で風況データを面的に把握できる。

 

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 従来の観測タワーに代えて、洋上200m以上の風況データを把握できるほか、設置した洋上風力発電設備の不具合等のチェックにも活用できるという。


 風向・風速予測では、発電機の高さに合わせて、高度ごとの予測情報を10日先まで、1時間単位で提供する。何十通りの予報計算を行い、風速の発生確率を予測したアンサンブル予報も提供する。また、洋上風力発電の設定地域で予想される、波高、うねりなどの海象予測、接近する台風情報、風・雷・気圧などの気象予測など、洋上風力関連の16種類の気象・海象情報を確認できる。

 

 洋上風力発電所建設時における厳しい自然環境下での安全運航や作業計画の作成、発電所運用時における発電量最大化など、洋上風力発電事業に関わる幅広い業務を支援する。

 

<提供情報>
波高 / 波向 / 波周期

天気 / 気圧 / 気温 / 降水量 / 視程 / 風向風速(海面~上空) / 発雷確率

台風の暴風域に入る確率予報/台風進路予報

ナウキャスト(降水、雷、竜巻) / リアルタイム落雷発生情報

 

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