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習近平中国国家主席、海外での新規の石炭火力発電所建設事業の停止を表明。グリーン事業等にシフト。国内での石炭火力事業の扱いについては触れず。国連総会で(RIEF)

2021-09-22 10:28:48

Xi001キャプチャ

 

   中国の習近平国家主席は22日、米ニューヨークで開催中の国連総会にオンラインで参加、ビデオ演説を行った。同氏は演説の中で、気候変動問題では「我々は世界の『環境ガバナンス』を改善しなければならない」としたうえで、「途上国のグリーンで低炭素エネルギーの開発を支援し、海外での新たな石炭火力発電所の建設はしない」と述べた。ただ、米国等が求めている国内での温暖化対策の強化については明言しなかった。

 

 習氏は演説で、「世界は、新型コロナウイルス感染問題や過去例のない複合的な変化のインパクトに直面している」として、こうした課題克服のための協調行動として、「グローバルな開発イニシアティブ(GDI)」の推進を提案した。この中で、コロナ対策での国際協調とともに、気候変動対策に言及した。

 

 同氏は、海外の途上国での石炭火力発電所の新規建設をしない方針を明言するとともに、グリーン・低炭素エネルギー開発への支援を強化する姿勢を強調した。途上国での石炭火力発電所建設事業では、欧米勢が撤退した後、アジアなどで日本と中国、韓国等が競って超々臨界圧石炭火力発電所(UCS)等を展開してきた。

 

 今回の習氏の海外石炭火力発電所事業の停止発言は、計画中・建設中のものも含むのか、例外措置があるのかどうか、詳細な点は不明だが、韓国や日本も海外での新規火力事業への支援を原則停止方針を打ち出しており、歩調を合わせる形といえる。

 

 COP26に向けて、米国をはじめとする先進国は世界最大のCO2排出国である中国に対して、国内外の石炭火力事業の停止を求めている。今回の習氏の発言は海外での新規石炭火力建設については停止を明言したものの、国内の石炭火力については言及がない。このことは、中国の地方主導での石炭火力事業については、引き続き容認する姿勢であることを示したともいえる。

 

 国内のグリーン・低炭素エネルギーへの移行については、「中国は2030年までにCO2排出量をピークアウトさせるほか、2060年までにカーボンニュートラルを達成するために努力をしている。この目標達成は非常に困難な仕事だが、われわれは目標達成のためのあらゆる努力をしていく」と従来と同様の発言をした。

 

 習氏はGDIを提唱することで、「バランスの取れた、協調的で包摂(Inclusive)な成長の新たなステージに向けて協働行動をとる必要がある」と指摘した。同行動については、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の目標達成をスピードアップし、多国間の協力プロセスのシナジーを高めるものと位置付けた。

 

 そのうえで途上国対応として、債務返済の先送りや開発資金の供給を進める必要があるとした。特に、コロナ禍等で困難に直面している最貧国の支援強化の必要性を強調した。コロナ対応では途上国向けに年間20億回分のワクチンの供給努力をするとしたうで、「途上国向けに、年内にさらに1億回分のワクチンを無償で寄付する」とした。

 

http://www.news.cn/english/2021-09/22/c_1310201234.htm