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日銀、気候変動対応オペの詳細公表。対象金融機関の公募開始。金融機関にはTCFD提言に沿った情報開示求め、ゼロ金利融資で支援。投融資先の気候情報開示については触れず(RIEF)

2021-09-22 19:00:33

BOJ002キャプチャ

 

 日銀は22日開いた金融政策決定会合で、金融機関の気候変動対応の投融資を後押しする「気候変動対応オペ」制度の詳細を公表し、対象金融機関の公募を開始した。制度の透明性を確保するため、対象の金融機関に対しては、TCFD提言に沿って、①ガバナンス②戦略等の4項目の情報開示とともに、気候変動関連の投融資の目標と、投融資実績の開示を求める。

 

 日銀は新制度について「民間における気候変動対応を支援するため、わが国の気候変 動対応に資する投融資の残高の範囲内で行う資金供給オペレ ーション」と位置付けた。

 

 対象に選定された金融機関に対しては、貸付利率0%で日銀が資金を貸与する。 貸出促進付利制度上のカテゴリーⅢ(0%付利)を適用 するとともに、 補完当座預金制度上の「マクロ加算2倍措置」を適用する。オペの貸出期間は原則1年だが、繰り返し利用することで長期の資金調達にも資するとしている。

 

 今回の「気候対応オペ」の期間は、金融調節上の支障がない限り 2031年3月31 日までとしている。政府が目指す2030年温室効果ガス排出量の46%削減(2013年度比)の達成を、金融政策面から支援する形だ。

 

 オペの対象となる金融機関は、気候変動対応に資する投融資として、①国際原則・政府の指針に適合する投融資②①に準じる投融資 、を実施する。①については、国際資本市場協会(ICMA)等が定めるグリーンボンド(サステナビリティボンド)、サステナビリティ・リンク・ボンド(気候変動対応に紐づく評価指標が設定されているものに限る)、国際資本市場協会(LMA)等によるグリーンローン、サステナビリティ・リンク・ローン(気候変動対応に紐づく評価指標が設定されているものに限る) 、トランジションファイナンスを列記している。

 

 投融資の対象事業は、①わが国の温室効果ガス排出量を削減するものとして国内を実施場所とするもの②サプライチェーンを通じてわが国の排出削減に貢献するもの③研究・開発向けの投融資であってその成果がわが国の削減に貢献するもの④海外を実施場所とするもののうち、二国間クレジット制度を通じてわが国の排出削減目標達成に貢献するものーーとしている。

 

 気候対応オペなので、コロナ対応で急増しているソーシャルボンドは支援の対象外としている。オペの対象に選定される金融機関にはTCFD提言に沿った情報開示を求めるものの、投融資先企業の情報開示については明言がない。

 

 現在、国際財務報告基準(IFRS)財団が企業の気候・サステナビリティ情報開示の国際共通基準を制定する国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の設立を目指している。わが国企業の気候開示をISSBの基準が出そろうまで、金融機関は投融資先の気候リスクの評価を金融機関自体の自主的判断で行うのか、それとも金融庁と東京証券取引所がコーポレートガバナンスコードの改定で導入するComply or Explain方式の自主的開示に準拠するのか。日銀は明確な方針を示していない。

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210922d.htm/

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210922c.pdf

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210922b.pdf