HOME5. 政策関連 |米EUの共同行動「グローバル・メタン誓約(GMP)」、新たに日本含む24カ国賛同。参加国は33カ国・地域に。EUは年末までに法案準備。非EUのサプライチェーン企業も対象に含める(RIEF) |

米EUの共同行動「グローバル・メタン誓約(GMP)」、新たに日本含む24カ国賛同。参加国は33カ国・地域に。EUは年末までに法案準備。非EUのサプライチェーン企業も対象に含める(RIEF)

2021-10-14 00:03:22

Methaneleakageキャプチャ

 

 米国とEUが共同イニシアティブで立ち上げた温室効果ガスのメタン削減のためのGlobal Methane Pledge(グローバル・メタン誓約 : GMP)へ、日本を含む24カ国が賛同したことがわかった。今月末に英国で開く国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)に向けてさらなる賛同国が増えることも見込まれる。

 

 11日に開いた米気候特使のジョン・ケリー氏と、EU欧州委員会の気候担当副委員長のフランス・ティマーマンス氏の特別オンライン会議で明らかにされた。GMPは9月17日にジョー・バイデン米大統領とウルズラ・フォンデアライエン欧州委員長が共同声明を出して各国に参加を呼び掛けた。https://rief-jp.org/ct8/118041

 

メタンは温暖化係数が100年間ではCO2の28倍、20年間では約84倍と影響が大きい。また、CO2をはじめとする全ての温室効果ガスが温暖化に及ぼす影響の23%分を担うという。だが、大気中の残存期間は約10年とCO2より短いため、米EUは、メタンの削減を進めることで温暖化対策を推進し易くなるとし、CO2削減に加えてメタン削減に力を入れる国際協調行動を打ち出した。

 

 GMPでは2030年までにメタンの排出量を最低でも30%(2020年比)削減する。これにより、2050年までに地球の温度上昇を少なくとも0.2%削減することが期待される。ただ、ケリー氏によると、目指す30%削減はグローバル公約であり、各国がそれぞれに削減目標を立てるわけではないとしている。賛同国が共同でグローバル削減を推進する「ソフトな目標」とする。

 

 GMPへの賛同国は、当初、英国、イタリア、メキシコ、インドネシア、イラク、アルゼンチン、ガーナの7か国が手をあげた。今回新たに、日本、カナダ、ドイツ、フランス、スウェーデン等24カ国が参加を表明したことで、現時点での賛同国は33カ国・地域に増えた。

 

 世界のメタン排出国上位20カ国のうち、9カ国が参加し、全体でグローバルなメタン排出量の約30%分を、世界経済の60%を占めるという。また20以上のフィランソロピー団体がGMP促進を支援するため、2億㌦以上の寄付金を申し出ていることも明らかにされた。

 

 国連のレポートによると、メタンの排出の35%は化石燃料採掘等が排出源で、農業から40%、廃棄物の埋め立て等から20%排出という割合。この中で、化石燃料産業での石油・ガスの掘削時に大気中に放出されたり、パイプライン輸送時に漏洩するケース等を管理・制御することで低コストでの削減ができるとされている。

 

 欧州委員会は年末までに、域内のすべてのセクターでのメタン削減の法制化案を作成するとしている。対象となるセクターには、EU域外の国でのサプライチェーンにおける排出量も含めるとしている。中東の産油国等も対象になることになる。

 

https://www.ccacoalition.org/en/resources/global-methane-assessment-full-report

https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/statement_21_5206