HOME8.温暖化・気候変動 |ドイツの次期連立政権、3政党の政策合意で、脱炭素を2038年から30年に前倒し。2030年の電力に占める再エネ比率を80%に引き上げ。天然ガスは「移行期に不可欠」と位置付け(RIEF) |

ドイツの次期連立政権、3政党の政策合意で、脱炭素を2038年から30年に前倒し。2030年の電力に占める再エネ比率を80%に引き上げ。天然ガスは「移行期に不可欠」と位置付け(RIEF)

2021-11-26 12:41:37

Germanyキャプチャ

 

 ドイツの社会民主党(社民党、SPD)、緑の党、自由民主党(FDP)の3党は24日、連立政権の樹立で合意した。この中で、気候変動政策では、これまでのメルケル政権下で示していた「2038年の脱炭素」を「2030年」に、2030年の電力に占める再エネ比率は65%から「80%」へとそれぞれ引き上げ、環境重視でEUを先導する姿勢を示した。12月上旬に社民党のオラフ・ショルツ財務相が新首相に就任する。

 

 (写真は、中央が首相に就任するシュルツ氏、その㊧がグリーン党のAnnalena Baerbock氏とRobert Habeck氏、シュルツ氏の㊨がFDPのChristian Lindner氏とVolker Wissing氏、SPDのSaskia Esken氏=英Guardianより)

 

 「3党合意」による気候・環境関連政策は、温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標年は、「2050年」よりも前倒しし、「遅くとも2045年まで」とした。ネットゼロ実現を現実化するため、脱石炭を従来目標の2038年から2030年に前倒しして実現するほか、電力に占める再エネ比率を、30年までに80%(680~750 TWh=terawatt-hours)に引き上げる。https://rief-jp.org/book/120305?ctid=35

 

 再エネ分野では、ドイツの国土の2%を使って陸上風力発電を展開するために、2022年前半に、国、地方一体となった総合計画を立案する。洋上風力発電は現在の7.8GWを、2030年までに30GW、35年までに40GW、45年までに70GWを目標とする(2020年時点は7.8GW)。

 

 太陽光発電は2030年までに現行(54GW)の約4倍の200GWに拡大するほか、屋根置き太陽光発電は、新築ビル、個人住宅について義務化する。石炭火力の廃止は2030年までを目指す。石炭火力廃止が完了した段階で再エネ事業への政府支援は廃止する。

 

 EUのタクソノミーで焦点となっている天然ガスについては「移行期に不可欠。天然ガス火力発電は再エネによって電力の安定定期供給が達成されるまで必要」と位置付けた。そのうえで、新規のガス火力は現在の火力サイトに代替的に建設され、水素エネルギーへの転換が可能な形とすることを条件化した。同方針をタクソノミー合意に盛り込むかは明記していない。

 

 産業政策では、気候変動対応を求められるEU企業を、気候対応の緩い海外企業との競争上不利にならないよう、EUが導入を検討するカーボン国境調節メカニズム(CBAM)への支援を打ち出した。CBAMはWTOルールと整合し、現在のEU-ETSと整合させるとしている。また産業界が競争的な電力価格を選べるようにすることも明記した。

 

https://www.theguardian.com/world/2021/nov/24/german-parties-agree-coalition-deal-to-make-olaf-scholz-chancellor