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日銀、2022年から「気候変動関連の市場機能サーベイ」実施へ。気候変動リスク・機会が株価や社債の価格形成、取引等にどう影響を及ぼしているかを包括的に調査・分析(RIEF)

2021-12-13 22:31:54

BOJ001キャプチャ

 

  日本銀行は13日、「気候変動関連の市場機能サーベイ」を2022年から毎年実施する方針を明らかにした。日銀は7月に「気候変動に関する取り組み方針」を公表したが、その中で位置づけた調査研究の一環としている。調査に先立って、市場関係者や有識者に向け、サーベイの調査内容や調査頻度・調査対象に関する考え方についての意見募集を始めた。

 

 日銀は調査の目的について、「気候変動にかかるわが国の金融市場の機能度や今後の発展に向けた課題を把握し、市場関係者間で共有していくこと」と定めている。

 

 これまで、金融庁や環境省、経済産業省等が、それぞれ別々の視点で、気候関連の政策を打ち出してきた。しかし、いずれもわが国の金融市場の対応についての包括的な調査や分析のないまま、欧米や国際市場での基準・ガイドライン等をコピーして「日本版」と称する中途半端な取り組みでしかなかった。今回、日銀は市場と市場関係者の取り組みを包括的に調査し、今後の政策等に生かす判断のようだ。

 

 日銀が目指す気候変動調査の主な項目としては、①わが国の株式市場および社債市場での、気候関連リスク・機会の金融商品価格への反映状況と課題②気候変動関連のESG債市場の現状と発展に向けた課題③わが国の発行体や投資家による気候変動関連のESG債の利用状況と課題ーーを挙げている。

 

 調査頻度については、わが国の金融市場の機能度や課題を継続的に調査するため年次調査とし、調査対象には、国内の投資家・金融機関に加えて、格付け会社、発行体等も加えるとしている。

 

 意見募集のために公表した市中協議文書では、サーベイによる調査内容案を示している。市場関係者等からの意見募集は年明け、1月31日まで受け付ける。寄せられた意見を踏まえ、最終的な調査内容等を確定する。

 

 想定する調査内容の例示として、次のような設問案を示している。

 <株式市場関係>

①株式市場での発行体ごとの気候関連リスクや気候関連機会の違いが、株価に反映されていると思うかどうか

②株式市場での発行体ごとの気候関連リスクや気候関連機会の株価へ の反映状況は、1年前と比べて改善したと思うかどうか

③気候関連リスクや気候関連機会のうち、株価に適切に反映されていないと思う要素はあるか

④今後、株式市場で、発行体ごとの気候関連リスクや気候関連機会の 違いを、株価により適切に反映していくために必要だと思うことは何か

<社債市場関係>についても同様に、気候関連リスクや機会の違いが価格に反映しているかどうか等を問うほか、グリーンボンド等のESG債の需給についての評価や、今後、ESG債の市場規模を拡大していくために必要なことは何か等を質問項目としている。

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel211213d.htm/

https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/data/rel211213d1.pdf