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東京都、「2030年カーボンハーフ」実現に向け、中小規模の新築建物事業者への太陽光発電設備導入義務化の素案公表。排出権取引制度の削減義務率の強化も。22年度に条例改正(RIEF)

2022-05-12 00:23:50

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 東京都は11日開いた都の環境審議会分科会で、2030年のカーボンハーフ(温室効果ガス半減)実現に向けた中間まとめ素案を示した。同案では、延べ床面積2000㎡未満の一戸建てを含む中小規模の新築建物を供給する事業者に対して、太陽光発電設備の設置のほか、電気自動車(EV)などのZEV(ゼロエミッション車)向けの充電設備の設置も義務づける。また既存の温室効果ガス排出量取引制度での削減義務率をカーボンハーフに適合するよう強化する。都は22年度中に予定する審議会答申を踏まえて、現行の環境確保条例を改正する方針だ。

 

 政府は2050年ネットゼロに向けて、2030年目標を46%削減(2013年比)としているが、東京都は、今後10年間の行動が極めて 重要との認識の下、2030年目標を国の目標を上回る50%削減(2000年比)とする「カーボンハーフ」政策を打ち出している。その目標実現のカギの一つになるのが、中間まとめ素案に盛り込まれた一戸建てを含む新築の中小規模建物への太陽光発電設備等の義務化だ。

 

 都内のCO2排出量のうち、約7割は建物関連で占められている。したがって、カーボンハーフを実現するには建物の排出削減対策が重要だ。しかし現在、都内の建物総数225万棟のうち、太陽光発電を設置している4.24%の9万5000棟しかない。都内では毎年4.3万件の新築建物(その99%が2000㎡以下)が建設される。これらが2030年までに40万棟、50年までに約130万棟になる。一方、既存の建物は建て替え等で50年時点で残存するのは約70万棟。

 

 こうした建物の入れ替え見通しから、都では、現時点で新築建物への太陽光発電義務化や省エネ強化等の思い切った脱炭素化策をとることで、30年、50年の排出量を大きく抑えることが可能と判断。住宅等への省エネ基準も国の基準を上回る水準を設定する。義務化は住宅の購入者に適用するのではなく、ハウスメーカーや不動産デベロッパー等のうち、都内で一定以上(年間2万㎡以上)の新築住宅等を供給するトップランナー企業等を対象にするとしている。

 

 現在、都では、新築住宅への太陽光発電設備の導入に際して、最大36万円、既築住宅で同45万円、家庭用蓄電池で同60万円の補助金を付与している。新制度の導入ではこれら補助金の見直しも想定される。都では2人以上の世帯で、毎月の電気代が1万円の場合に、発電容量4kWの設備を導入した場合、10年目まで毎月約7700円の電気代節約になり、設置費用は10年で回収できるとの試算を公表している。 太陽光発電設備の設置等で一定の要件を満たす新築住宅には、不動産取得税も最大で全額減免する。

 

 企業・業務部門での強化策の目玉となるのが、排出権取引制度の強化だ。カーボンハーフを見据えて削減義務率を見直し・強化するほか、対象事業者が取り組む再エネ利用の目標設定や取組状況等の報告・公表を義務付け、再エネ設備の導入、再エネ割合の高い電力への切り替え等を促進する。

https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/basic/conference/council/kikaku.files/kentoukai0511_4.pdf

https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/basic/conference/council/kikaku.files/sankousiryou1_0511.pdf