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エジプトでのCOP27の最終日前日。中国気候特使が「グローバル・メタン誓約」の会合に出席。G20首脳会合でのバイデン・習会談を受け、中国の気候交渉への回帰を象徴か(RIEF)

2022-11-18 17:19:49

COP270033キャプチャ

 

  具体的な成果の乏しい国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)の最終日を前に、国際協力復調の兆しが見えた。17日に、米国主導で進められている温室効果ガスのメタン削減の「グローバルメタン誓約」の会合に、非署名の中国代表が参加したことだ。米中の気候協議は米下院議長の台湾訪問で凍結状態となっていたが、インドネシアで開いたG20首脳会議でバイデン米大統領と習近平中国国家主席の会談を受けて、気候協議を含むいくつかの国際調整を両国で進める機運が生じている。メタン誓約でも、中国の歩み寄りが期待されそうだ。

 

 (写真は、COP27のサイドイベントに登場した中国の気候特使解氏(左から2人目)、演壇に立つのはジョン・ケリー氏㊨)

 

 エジプトのシャルムエルシェイク(Sharm el-Sheikh)からの各紙の報道によると、サイドイベントとして開いた「グローバルメタン誓約」の会合に、中国の気候担当特使の解振華(Xie Zhenhua)氏が姿を見せた。昨年のCOP26で立ち上がった同誓約には日本を含む約150カ国が署名しているが、メタン最大排出国の中国は、インド等の他の50カ国とともに未署名のままだ。https://rief-jp.org/ct8/118266

 

 メタン誓約は、この10年の間にグローバルなメタン排出量を30%削減することを目指している。パリ協定に沿った「1.5℃」目標を達成するうえで、CO2に次いで温室効果の高いメタンの削減が不可欠とされている。メタンの地球温暖化係数(GWP)は100年単位ではCO2より25倍も高いことが知られている。

 

 17日の会合が始まってしばらくして、米国の気候特使のジョン・ケリー氏は発言の途中で、解氏を招き入れる形をとった。「皆さん。途中で遮って申し訳ない。私の長年の友人を紹介したい。その人は中国の気候特使の解氏だ」と告げると、解氏が演壇に立った。会場に集まった70人以上の各国代表の大臣たちからは一斉に拍手があがった。

 

 コロナ対策用のマスクをはずした解氏は、ケリー氏からマイクを受け取って演壇に立ち、「(誓約に未署名の)中国の代表がグローバルメタン誓約の会合に参加することに少し疑問を持つかもしれないが、『良き友人』のケリー氏が、今朝、会合に来ないかと招待してくれたんだ」と明かした。

 

 さらに同氏は「実は、今、ドイツの外相と会合をしていたのだが、ちょっと待ってもらって、こちらに顔を出し、皆さんと話をしようと思ってきた」とざっくばらんに語った。そのうえで同氏は、中国自身のメタン削減戦略として、エネルギー、農業、廃棄物の3排出源にフォーカスした削減計画案を立案中であることを伝え、現在、関連する法案や規制プロセスを進めていると説明した。

 

 同氏は「誓約」への署名については明言しなかったが、「中国は対策の実行にはまだ時間がかかるので、調査や統計の収集、さらに我々のベースラインの検証等を進めている」と説明し、メタン削減の準備態勢をとっていることを強調した。ケリー氏と解氏はこれまで長年にわたって両国の気候協議の調整役として交渉を続けてきた間柄だ。ケリー氏は解氏が中国のメタン削減計画を推進していると説明したことを歓迎し、「うまくいけば、今後、われわれはメタン削減を軌道に乗せることができるかもしれない」と付け加えた。

https://www.climatechangenews.com/2022/11/17/chinas-surprise-visit-us-eu-methane-event-cooperation-cop27-g20/

https://jp.reuters.com/article/climate-un-methane-idAFL1N32D0T0