HOME8.温暖化・気候変動 |世界の平均気温、1月も過去最高を記録。昨年6月以来、8カ月連続で観測史上最高の気温を更新。1月までの年間気温は初めて「1.5℃」を突破。気候変動の影響、一段と顕著に(RIEF) |

世界の平均気温、1月も過去最高を記録。昨年6月以来、8カ月連続で観測史上最高の気温を更新。1月までの年間気温は初めて「1.5℃」を突破。気候変動の影響、一段と顕著に(RIEF)

2024-02-13 18:48:06

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上図は、1991~2020年の1月平均気温に対する2024年1月の気温偏差)

 

 世界の平均気温は昨年、観測史上最も暑い年となったが、年が明けた1月の気温もこれまでの1月の最高気温を0.12℃上回る「最も暑い1月」だったことが、わかった。昨年6月以来、月別最高気温を更新し続けており、これで8カ月連続となった。さらに1月までの1年間(2023年2月~24年1月)の平均気温は産業革命前の平均気温(1850~1900年)から1.52℃の上昇となっており、すでにパリ協定の抑制目標の「1.5℃」を年間ベースで初めて上回ったことになる。気候変動の進展に加え、気温上昇の要因とされる東平洋東部でのエルニーニョ現象は弱まり始めているが、海温の異例な上昇が影響している。

 

 世界気象機関(WMO)とEUが組織する気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス(C3S)」が公表した。それによると、1月の世界の平均気温は13.14℃。直近の1991~2020年の1月の平均気温を0.70℃上回り、これまで観測史上で最も暑い1月だった2020年の記録を0.12℃上回った。1月単月だけの気温も、産業革命前(1850~1990年)の1月の平均気温をすでに1.66℃上回っている。https://rief-jp.org/ct4/141898?ctid=

 

 北半球が冬のため、1月の平均気温は過去6カ月の各月よりも低いが、昨年7月以前と比べると高くなっている。地域別では、欧州のうち北部のノルディック諸国は直近(1991~2020年)の1月平均よりも低かったが、逆に南欧では平均を上回った。カナダ東部、北西アフリカ、中東、中央アジア等はいずれも平均を上回る暑い1月だった。カナダ西部、米国中央部、シベリア東部大半は、平均を下回った。

 

海洋温度の日ベース推移
海洋温度の日ベース推移。記録的な「熱い海」となっている

 

 同月の海洋表面平均温度(SST)は南緯60°~北緯60°において、これまでの最高温度だった2016年の温度を0,26℃上回った。また昨年8月の海面平均温度の最高値(20.98℃)には0.01℃及ばなかったが、過去二番目に海面温度の高い月となった。日平均の海温は昨年8月の23日~24日に記録した過去最高温度を、1月31日以降、上回り続けている。陸上以上に「海がゆで上がっている」状態だ。

 

 ただ、北極海の海氷面積は平年並みで、2009年以降では最も海氷が多い1月だった。一方、南極海の海氷面積は1月の平年より18%少ない6位で、2023年に記録した1月の最小値(-31%)を大きく上回った。

 

 1月は、欧州の大半の地域で平年より雨が多く、暴風雨が欧州北西部と南西部に影響を与えた。スペイン南東部、北部、マグレブ、英国南部、アイルランド、アイスランド東部、スカンジナビアの大部分、ロシア北西部の一部、バルカン半島東部では平年より乾燥した気候だった。

 


 また米国西部と南東部、ユーラシア大陸の大部分、南米南東部、アフリカ南東部、オーストラリア北部と東部を含むいくつかの地域で平年より雨が多かった。北米西部と南部の一部、カナダ、アフリカの角、アラビア半島、中央アジア南部は平年より乾燥し、オーストラリアとチリでは乾燥の影響で山火事が広がった。チリの山火事では131人の犠牲者が出た。

 

 C3Sの副局長のサマンサ・バルゲス(Samantha Burgess)氏は「2024年のスタートは、新たな記録破りの月となった。単に1月として過去最高気温だっただけでなく、同月を含む12カ月平均で産業革命前以来の気温上昇が、パリ協定の抑制目標の『1.5℃』を上回った点でも記録的な1月だった。グローバルな気温上昇の勢いを抑制するには、温室効果ガス(GHG)排出量の急速な削減が必要」と危機感を示している。

https://climate.copernicus.eu/copernicus-2024-world-experienced-warmest-january-record