8月の世界の平均気温は16.60℃。同月としては観測史上過去3番目の高い気温。産業革命前からの気温の上昇は1.29℃となるも、8月までの1年間では「1.5℃」を上回る1.52℃に(RIEF)
2025-09-10 16:05:35
(上図は、世界の8月の平均気温の年間推移=C3Sのデータから引用)
今年の8月の陸上での平均気温は世界全体で16.60℃で、同月としては観測史上過去3番目の高い気温の月だった。同気温は産業革命前の1850~1990年平均より1.29℃上昇にとどまり、パリ協定の目標である「1.5℃」以内に戻った。ただ、8月までの1年間(2024年9月~2025年8月の12か月間平均気温)でみると、1.52℃で、1.5℃目標を上回っており、高気温状況は大きくは変わっていないといえる。EUの気候観測拠点であるCopernicus Climate Change Service (C3S)が公表した。
8月の世界平均気温は、1991年~2020年の8月の平均気温を0.49°C上回った。観測史上最も温かだった2023年と2024年の8月よりは0.22°C低かった。23、24の両年はエルニーニョの影響が加わっていたとみられる。今年の8月は観測史上3番目の高温を記録したことで、特にスペイン、ポルトガルなどの南欧地域では、同月中に、この夏3度目の大規模な熱波が発生し、異常な森林火災に襲われた。https://rief-jp.org/ct8/160555
同月の海温も、世界全体の南緯60度~北緯60度間での平均海面水温(SST)は20.82℃となり、同月としては観測史上3番目の高値を記録した。過去最高だった2023年8月の記録値に比べると0.16℃下回った。北太平洋の大部分では平均を大幅に上回るSSTが観測され、一部地域では記録的な高値に達した。一方、赤道太平洋中部・東部付近では、エルニーニョとラニーニョの両現象(ENSO)の中立状態となったことを反映し、SSTは1991~2020年平均値付近かそれ以下だった。
地域別にみると、西欧ではもっとも顕著な気温上昇が観測され、特にイベリア半島とフランス南西部は、特に熱波の影響を強く受けた。一方、北欧の大部分(フェノスカンジア、バルト諸国、ベラルーシ、ポーランドを含む)では平年を下回る気温が観測された。

欧州以外では、シベリア、南極の一部地域、中国、朝鮮半島、日本、中東で、平年を上回る気温が記録された。オーストラリアの大部分では平年を下回る気温が観測され、北米、南米、南アフリカの気温は、平年とほぼ同等または平年を下回る状態が混在した。
欧州中期予報センター(ECMWF)の気候戦略責任者のサマンサ・バージェス(Samantha Burgess)氏は「今年8月は世界的に観測史上3番目の高温を記録し、南西欧州では、同月に、この夏3度目の大規模な熱波が発生、異常な森林火災を伴った。世界の海洋の温度も異例の温度を維持しており、これらの事象は排出量削減の緊急性だけでなく、より頻繁かつ激しい気候の異常現象への適応が極めて重要であることを浮き彫りにしている」と指摘している。
北半球のこの夏全体(6月~8月)をみると、世界全体での平均気温は、1991~2020年平均を0.47°C上回り、観測史上3番目の高さを記録。2023年と2024年の北半球夏季に次ぐ高温となった。世界の気温は主に平年を上回り、特に北半球で顕著だった。アジアでは最大の正の異常値が観測された一方、南アメリカとオーストラリアでは顕著な負の異常値が発生した。
このうち、欧州の夏季は観測史上4番目の高温となり、1991~2020年平均を0.90℃上回り、世界平均を超えた。欧州大陸のほぼ全域で夏季気温が平均を上回り、東欧の一部地域のみが例外であった。特に西欧、南東欧、トルコで平均を大きく上回った。
北極海の海氷面積は毎年、9月に予想される年間最小値に近づく。これに向けて、今年8月の平均面積は1991~2020年平均を12%下回り、8月としては観測史上8番目に低い面積だった。この値は、史上最小の9月面積を記録した2012年8月が平均値より22%下回るレベルだったが、その記録的な数値に比べても、大幅に小さい面積だった。
8月の南極海氷面積は平均値より7%下回り、同月としては観測史上3番目に低い数値だった。これは6月、7月の順位とほぼ同じレベルで続いている。南極周辺の海氷濃度異常は、大陸周辺の高気圧・低気圧の配置により、平均を上回る領域と下回る領域が交互に現れ続けた。
高温、高海温が続いたことで、8月の各地では気候変動の影響による気候災害が起きた。まず、欧州では西・中央・南欧の大部分、スウェーデン最南部、ロシア北西部、フィンランドの一部での大気は平均より乾燥した状態が続いたことで、大陸南部では大規模な森林火災が発生した。
一方、北イタリア、スペイン最東部、アドリア海沿岸、アイスランドの大部分、スコットランド・フランス・フェノスカンディアの一部、バルト三国・ベラルーシ・ウクライナ北部・ロシア一部を含む広域では、平年を上回る降水量を記録し、一部で洪水が起きた。
欧州以外では、米国西部・中部・東部、カナダの大部分、ロシア北部、中央アジア及び極東アジアの一部、南部アフリカの一部、ならびに亜熱帯南米の地域では、平年より乾燥した気候状態が続き、カナダでは森林火災が広がった。また北米南東部および北西部、アフリカの角北部、アラビア半島南部、インド亜大陸北部、中国の一部、日本、オーストラリア南西部および南東部、南米南部の一部では、平均より雨量が多く、洪水や土砂崩れ等の気候災害が発生した。
(藤井良広)
https://climate.copernicus.eu/celebrating-10-years-c3s-climate-bulletin

































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