気候政策を「放棄」したトランプ政権の米国南西部で「春の熱波」。主要都市の最高気温は30℃超で一気に「真夏日」。気候変動を人為的に「無視」しても、地球の「人為的変異」は隠せない(RIEF)
2026-03-23 00:58:48
(写真は、World Weather Attributionのサイトから引用)
米国南西部地域一帯で、記録的な熱波が発生している。カリフォルニア州からコロラド州にかけての州の多くの都市では最高気温が30℃を超え、春を通り越して、一気に夏の気温となっている。米国立気象局(NWS)気象予測センターは、これらの地区の数十都市で、3月としての観測史上最高気温を更新したと発表した。強力で移動速度の遅い「ヒートドーム」と呼ばれる高気圧に覆われたことが原因で、科学者はこの「春の熱波」は地球温暖化の影響と指摘している。トランプ米政権はパリ協定から離脱し、気候対策の「放棄」を明確にしているが、気候変動の影響は、その米国でも確実に広がっているといえる。
NWS等の観測によると、米国南西部での「春の熱波」は、3月に入ってから顕著になっている。先週末には、カリフォルニア州、ネバダ州、アリゾナ州の一部で、平均気温が平年に比べて11~17℃も上昇した。多くの地域で、平均気温は37.8℃(100℉)を超えると予想されている。20日には、カリフォルニア州南部とアリゾナ州の州境沿いの数カ所の観測所の気温が44.4℃に達し、3月の全米最高記録となった。
フェニックスは、アリゾナ州の最大都市で全米でも最も暑い年の一つとされるが、21日の最低気温は21.1℃。周辺都市の気温上昇に比べレば、「穏当」だったが、その後、気温上昇に転じて、今後、41.1℃(106℉)前後の気温が数日間続く見込みとされている。気温を華氏で表す米国で、最高気温が100℉を上回ると「異常高温」とみなされる。
21日に3月の最高記録を塗り替えた地域としては、ミズーリ州カンザスシティーやネブラスカ州ノースプラットがともに33.3℃を記録して、記録を塗り替えた。カンザス州の州都トピカでは、35℃に達し、同州の3月の記録を更新した。米国で最も人口の少ないワイオミング州でも、州都シャイアンで28.3℃を記録し、3月の史上最高気温を塗り替えた。

カンザス州シャヌートでは、氷点下10.5度の記録的低温を観測したわずか4日後に、「ヒートドーム」に覆われて、気温が急上昇して32.8℃の記録的高温が観測された。超低温から超高温への温度差は43.3℃にもなる急展開だった。このほか、デンバー、ネブラスカ州グランドアイランド、テキサス州ミッドランドなどの各都市でも、21日の日中の最高気温が史上最高を更新した。
科学者らは、直近の熱波の盛り上がりについて、主に化石燃料の燃焼によって引き起こされる地球温暖化の明確な兆候であるとの見解を示している。「ヒートドーム」に覆われた地域の多くでは、気温は37.8℃(100℉)を超えると予想されている。
さらに、今年の熱波が、特に季節の早い時期に発生していることを考慮すると、公衆衛生上、重大な脅威になっているとみている。例年よりも早い段階で発生したヒートドームは、大気の状態を安定させ、雲の形成や降水を抑制する一方で気温の上昇を許容している。この「春の熱波」による猛暑は長引くと予想される。
米国では、極端な暑さは気象関連の死因の筆頭とされる。毎年数十万人が熱関連の原因によって死亡している。季節の早い段階での極端な暑さは、人々がその暑さに順応しておらず、特に社会的に脆弱な人々にとって、最も致命的とされる。夜間の気温低下が限定的であること、これらの都市の住宅のエアコンの普及は遅れていること等から、コミュニティ、住宅の熱ストレスをさらに増大させると予想される。
異例の「春の真夏日」をもたらしているヒートドームの影響力は、この時期としては過去にないパワーを保有しており、各地で気温上昇の記録を更新する要因になっている。同地域では、2021年に太平洋岸北西部 (PNW)熱波の発生で、数百人の死者を出しているが、PNW熱波の発生は同年6月と、時期が今より遅く「夏」に近かった。PNW熱波による最高気温は48.9℃(120℉)だった。
「春の熱波」の襲来は、気温上昇に体が対応しきれていない人々の健康面への影響のほか、高気温の継続によって、この地域の山岳自体の雪解けを急速に推し進める可能性が出ている。コロラド州等の山岳地帯は、前年の暖冬によって積雪量はすでに1981年以来の最低水準だが、これらの地域での気温上昇がさらに進んで例年以上の雪解けの進行となると、夏場の水利用可能量を減少させ、水不足リスクを高め、山火事の危険性を増大させる可能性がある。
WWA(World Weather Attribution)の分析では、現在、米国南西部で起きている「春の熱波」現象は、産業革命前からの気温の上昇が「約4°C温暖化〈1.5℃目標を大幅に上回る水準)」によるものであるとしている。こうした高温の出現は、人為的な気候変動がなければ事実上あり得なかったことを示唆している、と指摘している。WWAは気候モデルと観測データを組み合わせ、両方の証拠に同等の重み付けを行って分析した結果、このような事象の強度増加を2.6°C、発生確率の増加を約800倍と推定したとしている。これは、気候変動がなければ、今回の事象の発生は事実上不可能であったことを意味するとしている。
(藤井良広)
https://www.wpc.ncep.noaa.gov/discussions/hpcdiscussions.php?disc=pmdspd

































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