HOME |中国社会 労働者不満の解決能力失い“反日”頼み 中国共産党体制そのものが投資リスクに(各紙) |

中国社会 労働者不満の解決能力失い“反日”頼み 中国共産党体制そのものが投資リスクに(各紙)

2012-10-17 11:55:02

毛沢東の国なんですよ。共産主義って何か知ったうえで中国に工場建てたの?
毛沢東の国なんですよ。共産主義って何か知ったうえで中国に工場建てたの?


各紙の報道によると、中国の反日暴力デモはひとまず下火になった模様だ。しかし、デモで被害を受けた日本企業だけでなく、すでに進出している日本企業経営者の中にも、今回の事態を重く見て、対中戦略を見直すところも少なくないようだ。中国市場を見るうえで、基本的なポイントは、日本と違い、共産主義国家であり、いざとなると政府が強制権限を発揮する点が、潜在的な投資リスクである子だ。今回の騒動は、そのリスクが顕在化したといえる。

 日本企業の対中進出は1970年代末に本格的に始まった。大手メーカー、商社、金融、流通業など主要企業、日本経団連など財界のトップたちはひんぱんに北京の共産党中央の幹部や首脳と会合を持ち、信頼関係の構築に努めてきた。大手企業の中国進出を受けて、部品、材料加工下請けなどの中小企業経営者たちも各省の党幹部と接触して、各地に合弁相手や立地先を選定し、進出しててきた。

 設立した現地法人には、董事長と呼ばれる経営首脳のほかに、この法人に属する共産党委員会書記がいる。企業はこの書記にも報酬を払う。この書記は「工会」と呼ばれる労働組合と交渉して、労働者の賃金を維持し、労務上で発生する多様なトラブルを水面下で処理する任務にあたる。これらの書記は、党総書記(現在は胡錦濤氏)を頂点にした中央政治局常務委員を最高意思決定機関とした党組織に属しているため、実質的に共産党が日本企業の投資をサポートする中で、日本企業は大手から末端下請けにいたるまで安心して対中投資、生産、販売に取り組んでこられた。

しかし、この共産党のピラミッドシステムは、ここ数年、ほころびがみられてきた。農村部出身の労働者が待遇改善や賃上げを要求し、労働争議が頻発しても、党書記はそれらを制御できず、工会自体が影響力を失いつつあった。こうした力関係の変化の背景には、労働者と経営者の間の貧富の格差の拡大がある。党書記は、人民の不満が広がらないように、賃金交渉では譲歩することが多くなり、さらに賃金以外の労働者の不満は、党幹部や経営者の不正・賄賂等への不満となってますます強まる傾向にあった。

 共産党は建前として「人民の党」であることから、労働者を頭から押さえつけることはできない。そこに起きたのが今回の尖閣諸島問題である。党中央は日ごろの労働者の共産党への不満を意識して、「愛国無罪」の旗を振った。各地の共産党幹部も同様に「日本「日経企業」への攻撃を始め、日系の工場や店舗への放火や略奪を放置した。これまで日本企業の対中投資リスクを軽減してきた中国の共産党システムが今度は、日本企業を集中的に破壊する装置に転化してしまった。

 共産主義は資本主義、自由主義と基本的に相いれない。にもかかわらず中国が「社会主義型市場経済」なる”異物”を掲げて登場した際、日本の経営者、政策当局はほとんど、背後に隠れている共産主義と資本主義の矛盾を無視し、投資を誘う共産党幹部たちの「笑顔」を正面から受け入れてしまった。ある意味で、だまされたほうが悪い、ともいえる。歴代中国詣でをした首相や歴代経団連会長が抱える責任の重さは、極めて重いと言わざるを得ない。

日本の政治、経済が求められるのは、一つは共産主義と市場経済が混在した”異物”としての中国経済を冷静に分析、評価することと、そうした中国経済社会が持続可能でないことを踏まえて、中国の政治改革・民主化を促すことにあるのではないか。