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石綿被害 国に賠償命令 東京地裁「規制は不十分」 (東京) 建材メーカーの責任も厳格に追及すべき

2012-12-06 12:29:24

元建設作業員らによるアスベスト訴訟10+件の判決を聞き、遺影などを手に涙する原告団の女性たち=東京都千代田区の東京地裁前で
元建設作業員らによるアスベスト訴訟10+件の判決を聞き、遺影などを手に涙する原告団の女性たち=東京都千代田区の東京地裁前で


アスベスト(石綿)を吸い込み、肺がんや中皮腫などになった首都圏の元建設労働者三百八人について、本人や遺族が国と建材メーカー四十二社に計約百十八億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁の始関(しせき)正光裁判長は五日、「国の規制に不十分な点があった」として、百五十八人に約十億六千万円を支払うよう国に命じた。


 メーカーへの請求は退けたが「何らの責任を負わなくてよいのか疑問がある。国会や関係当局での真剣な検討を望む」と立法を含めた行政による救済を促した。建設現場での石綿被害をめぐる集団訴訟は六地裁で起こされ、東京地裁の患者数は最多。判決は二件目だが、国の責任を認めた判断は初めてで、同種訴訟や国の救済策にも影響を与えそうだ。




 全員の請求が認められなかったことなどから、原告側は控訴する方針。




 判決は「国による規制措置は全体として実効性を欠いており事業者への罰則を伴う防じんマスクの義務付けなどを怠った」と指摘。石綿業界の国際組織が危険性を勧告した後の一九八一年以降に屋内作業に従事した労働者のほか、より危険な吹き付け作業をした労働者については七四年以降の賠償責任を認めた。




 しかし屋外作業だけの労働者をめぐっては「客観的な粉じん濃度の高さを示す研究結果などがなく、国は危険性を容易に認識できなかった」と判断。零細事業主や個人事業主(一人親方)は、労働安全衛生法の「労働者」には当たらないとしいずれも国の責任を否定した。




 石綿建材の製造をいつの時点で禁じるべきだったのかも争点だった。判決は「国が適切に規制していれば、相当程度の被害拡大を防げた」とし、社会的な合意や国際的な状況を踏まえれば、二〇〇三年に原則禁止し、〇六年に全面禁止にした措置は「著しく不合理とは言えない」とした。




 メーカーに対しては「適切な警告表示を怠ったことで、原告らが石綿の危険性を具体的に認識できなかった」と批判したが、「四十二社が共同して責任を負うべきほどの法的な結び付きはない」と賠償責任を認めなかった。




 三百八人(うち百九十九人死亡)は主に六〇年代以降、石綿を含む建材を扱った。一人を除き、労災や石綿健康被害救済法の認定を受けている。


◆石綿訴訟判決骨子




一、国は石綿の吹き付け作業では一九七四年、切断などでは八一年に規制の義務を負っていたが怠り、違法だ




一、この時期以降に屋内で建築作業に従事した労働者に限り、国の賠償責任がある




一、屋外作業では危険性を容易に認識できたと言えず、零細事業主や個人事業主についても国は責任を負わない




一、石綿を含有した建材の製造販売企業に共同不法行為は成立しない

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012120602000082.html