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実際の原発コストは 政府試算の2倍 LNG火力より割高 原発は経済的にも成り立たないことを立証 (自然エネルギー財団)

2013-12-05 14:41:29

原子力の発電単価の試算結果。右端の棒が、自然エネルギー財団の原発コスト試算
原子力の発電単価の試算結果。右端の棒が、自然エネルギー財団の原発コスト試算
原子力の発電単価の試算結果。右端の棒が、自然エネルギー財団の原発コスト試算


(『「エネルギー基本計画」への提言』(自然エネルギー財団)の、原発の評価の部分だけ抜粋)。: 原子力発電推進の最大の理由とされてきたのは、その「経済性」だった。福島原発事故後に行われた政府の「コスト等検証委員会」の検討で、原発の発電単価は、それまで言われていた1kWhあたり6円というような安価なものではなく、最低9円とされていた。

 



しかし、この試算にも、現在、欧米で建設されているような最新の安全装置を備えた原発にした場合のコスト上昇は加味されていない。これらの原発の建設費は、政府が試算の根拠としたものの2倍以上になる。事故リスク対策費や廃炉費用なども、現実に必要となっている金額が考慮されていない。こうした要素を加味すれば、原発の発電単価は1kWhあたり17円以上となり、経済性は全くなくなる。

 

 

自然エネルギー財団では、昨年行った「原発コスト再検証」23(2012年8月。推敲を加えた報告書としてのとりまとめは2013年9月)を見直し、再計算を試みた。2012年の試算は、政府が2011年に行った各エネルギーコストの試算をもとに、できる限り保守的な数値を前提として原発コストを計算したものだった。今回は、海外の新しい動き等を参考にしつつ、より現実的な原発コストの再検討を行った。

 

まず、海外での新設原発のコスト上昇を考慮し24、建設コストを35万円/kWから約1.5倍の50万円/kWと2倍の70万円/kWの2パターンで計算した。120万kWの原発を建設するとして、50万円/kWで6000億円、70万円/kWで8400億円相当となる。このうち、提言1では、建設コストが倍になったケースをとりあげているが、約1.5倍の50万円とした場合でも、原発のコストは1kWhあたり14.3円と、政府試算よりも大幅に上がる。

 

また、廃炉処理費用について、現在の日本の実績や海外の事例を参考に、少なくとも1基あたり2000億円かかると見積もった(「4 廃炉について」の項を参照のこと)。さらに、新設とはいえ、40年間の運転中には新たな安全対策が必要になるものと想定し、追加的な対策費として、495億円(日本経済研究センター試算)25を加えた。

 

放射性廃棄物・バックエンドコストについては、政府が固執する再処理政策が維持される場合を試算の想定とした。現状の政府想定では、大きな要素として、ウラン濃縮から出てくる劣化ウランや再処理からの回収ウランの処理コスト、ウラン燃料製造工程のコスト、そしてなにより膨大なコストになると思われる、第二再処理工場の建設費やそこから出てくるガラス固化体の処理・貯蔵費、および使用済みMOX燃料の処分費が含まれていない。第一再処理工場も40年間にわたり定格運転され続けることが前提となっている。

 

これらを考慮すれば、実際の費用は、現在の政府の見積もりである19兆円から、少なくとも2倍から3倍になるとみられる。今回は、使用済み核燃料の全量再 処理を掲げる限り必要になる第二再処理工場26にかかるコストの増加のみを想定し1.5倍とした。

 

事故リスク対策費は、事故の「保険」にあたる部分だが、除染や事故炉の廃炉コストなど、見積もりがきわめて困難である。日本経済研究センター(日経センター)は、事故直後の2011年5月の試算で、福島原発事故の処理費用として最大で20兆円かかるとしており27、今回も前回とりあげたその試算を適用した。これは、1kWhあたりでは1.8円に相当する。ちなみに、ドイツ・ライプチヒ保険フォーラムの試算では0.14 〜67.3ユーロ/kWh(18.2円〜8749円/kWh。1ユーロ=130円レート)の保険費が必要としている28。政策経費は、前回試算と同じく、避難区域の拡大による交付金増額を適用した。

 

 

以上の試算の想定条件と試算結果を表にまとめると表5-1のとおりである。genpatsushisan2キャプチャ

 

2013年12月現在、日本ではすべての原発が稼働していないが、原発は動かしていなくても莫大な維持管理費がかかる。50基の原発の維持管理に要する費用は、年間約7600億円にものぼる(2012年度)。

 

これ以外にも、原発推進のための政策経費として毎年約4500億円の国家財政支出がある。「原発ゼロ」をめざす方針を政策決定し、廃炉にしていけば、核燃料費の1800億円もあわせ、合計約1兆円以上にものぼるこうしたコストを削減していくことができる。

 

 

『「エネルギー基本計画」への提言』(自然エネルギー財団)の全文  http://jref.or.jp/images/pdf/20131202/JREF_Proposal_basic_energy_plan.pdf