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国際協力機構(JICA)の初のソーシャルボンド、350億分完売。日本生命など生損保や銀行の応募が発行額を倍以上上回る。ESG評価と安定利回りを好感(RIEF)

2016-09-06 16:49:37

JICAキャプチャ

 

 国際協力機構(JICA)が国内で初めて発行したソーシャルボンド(社会貢献債)350億円分が完売した。日本生命が30億円を購入したほか、生損保、銀行等が競い合うように購入を申し込んだ。ESG債としての評価に加えて、マイナス金利下で相対的に有利な利回りを見込める点も魅力になった模様だ。

 

 JICAのソーシャルボンドは、10年もので利回り0.100%の200億円分と、30年もので利回り0.590%の150億円分の2種類。いずれも直近の国債金利に比べると有利になっている。両債券とも、発行額を大きく上回る約400億~500億円の投資家からの応募があったという。http://rief-jp.org/ct1/63794

 

 債券を購入したのは、日本生命の30億円のほか、第一生命23億円、損害保険ジャパン日本興亜17億円、太陽生命14億円などとなっている。三菱UFJ銀行、みずほ銀行なども投資した模様。

 

 JICAのソーシャルボンドは、通常の信用格付け(R&Iで国債と同じAA+、S&PでA+)のほか、日本総合研究所からソーシャルボンドの国際ガイダンス(GBP付属資料)に合致しているとのセカンドオピニオンを得ている。共同主幹事は野村證券、大和証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の3社。

 

 ソーシャルボンドの国際ガイダンスでは、資金使途の対象事業について①基礎的インフラストラクチャー(清潔な飲料水、下水、公衆衛生、運輸等)②社会サービスへのアクセス(健康、教育、職業訓練、ヘルスケア、金融サービス等)③低価格住宅④雇用創出(中小企業向け金融サービスやマイクロファイナンスを含む)⑤食糧問題⑥社会経済開発や啓発運動、などを例示している。

 

 日本総研のセカンドオピニオンでは、GBPが整理した「資金使途」「事業評価・選定プロセス」「資金管理」「レポーティング」の4項目に、いずれも合致すると評価している。そのうえで、資金効果を投資家により分かりやすく伝えるため、JICAの有償資金協力事業全体のインパクト(影響効果)をまとめて公開するよう推奨している。

 

 JICAは今後も、ソーシャルボンドで調達した資金を活用して、国連が定めた持続可能な開発目標(SDGs)の達成をはじめとする持続可能な国際社会作りに貢献していく、としている。

http://www.jica.go.jp/press/2016/20160902_01.html

http://www.jica.go.jp/investor/bond/ku57pq00001qs7yu-att/Second_Opinion.pdf