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福島沖半径20km以内の海底から 9月調査で 1kg当たり2200ベクレルの高濃度セシウム検出。海底に蓄積する放射性物質(RIEF)

2015-10-30 15:09:05

kaiteidoキャプチャ

  原子力規制委員会は、9月に実施した福島県沖周辺の海底土調査で、東電福島第一原発から半径20km以内の地点から、セシウム濃度最高2200ベクレル(1kg当たり、乾土)を検出したことを公表した。

 

 福島県等は、県内の除染が進み、河川や海水の汚染状況が改善していると説明している。だが、除染等で海洋に流れ出した放射性汚染物質は海水中に広く拡散するだけでなく、ある部分は海底にホットスポットとして蓄積していることを示す。

 

 今回、高濃度セシウム蓄積の海底土が見つかったのは、福島第一原発からほぼ真東に10km前後離れたT-5地点の海底。9月1日に海底土から採取した試料を検査したところ、セシウム134が400ベクレル、同1371が1800ベクレルだった。

 

 今年6月の検査では今回の調査地点より、10kmほど陸地よりのT-⑨地点で3160ベクレル(1kg当たり、乾土)の高濃度セシウムを検出している。今回のデータはそれよりは低いが、今年検出された海底土からの放射性物質濃度としては、それに次ぐ高濃度。

 

 

 東電が公表しているデータでは、事故が起きた2011年7月4日に、福島原発沖直近の海底土で1万8300ベクレルを検出した事例がある。海底土の汚染の特徴は、時点を変えて測定した場合に、値が変動していることが多い点だ。汚染海底土自体が、潮の流れ等の影響を受けて、海底を移動するとみられている。

 

 

 海底土に放射性物質の汚染が滞留すると、底魚と呼ばれる魚類の汚染継続につながる可能性がある。ただ、陸上と異なり、海底土を除染することはほぼ不可能に近い。原発事故で放射能汚染が広がった陸上部では、農地や住宅を中心に除染作業は進んでいる。だが、山野についてはほとんど手がついていない。このため、降雨等で山野から流れ出た放射性物質は、継続的に海洋に注ぎ込まれるという状況が続いているといえる。

 

 東電では10月26日に、汚染水の海洋流出を防ぐ「海側遮水壁」を完成させた。このことから、 福島県漁連では原発から20km圏の海域でこれまで自粛してきた試験操業を、来年1月早々にも解除したいとの考えを示しているという。しかし、海底土の汚染は20km圏内で続いており、蓄積性を考えると、汚染濃度が増しているところがある可能性もあり、慎重な対応が求められるといえる。

 

 

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http://radioactivity.nsr.go.jp/en/contents/11000/10376/24/280_20151021.pdf